レッドブル・ホンダ、1ストップ作戦が実らず。代表がメルセデスAMGとの差、敗因を語る (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

「ここはほとんどのコーナーが高速で、タイヤがオーバーヒートしやすい。だからタイヤマネジメントがすごく重要になるし、決勝ではそれをきちんとこなすことが大切だ」

 フェルスタッペンがそう危惧したように、決勝は決して楽な展開にならなかった。

 スタートダッシュを決めてターン1でインに飛び込み、やや強引にルイス・ハミルトンの前に出て首位に立った。過去3戦と同じように、フェルスタッペンが攻めの姿勢を見せ、ノーポイントは避けたい王者ハミルトンが引くという展開だった。

 しかし、そこからはハミルトンのペースのほうが上回り、ギャップを広げることができない。フェルスタッペンは24周目にチームとの無線コミュニケーションミスでピットインしてしまい、タイヤが準備できておらず4.2秒もの静止時間を要したうえに、戦略面でも苦しくなってしまった。

 フェルスタッペンはなんとか首位をキープしたものの、ミディアムタイヤの性能低下は予想以上に速く、ピットストップを遅らせたハミルトンは4周新しいミディアムタイヤで追いかけてくる。そのペースに押されて必要以上にプッシュしてしまったことで、フェルスタッペンのタイヤの性能低下はより一層進んでしまった。

 そして42周目、ハミルトンはもう一度ピットイン。さらにフレッシュなミディアムタイヤに履き替え、22秒後方から毎周1秒以上速いペースで猛追を見せる。

 メルセデスAMGが2回目のピットストップを決めた時点で、フィニッシュまで残り1周で追い着く計算。ハミルトンのペースが遅ければ追いつけないし、タイヤを温存できていなければコース上で抜くこともできない。ピットインのタイミングが早すぎれば、追い着いた時にフェルスタッペンのタイヤはまだグリップがあって抜けない。タイミングが遅すぎれば、22秒のギャップを取り返せずに終わる。

 そんなギリギリの戦略を、ハミルトンは完璧にこなしてフェルスタッペンを一発で抜き去り、勝利をもぎ取った。ハミルトンに全幅の信頼を置くからこそ、メルセデスAMGはそんなギリギリの戦略を与え、ハミルトンもその期待以上の走りを見せた。

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