2018.10.03

ドライバーにしっくりこないホンダ新エンジン。
鈴鹿までに成熟できるか

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 第16戦・ロシアGPに投入されたホンダの「スペック3」パワーユニットは、パワー要求値の高いソチ・アウトドロームにもかかわらず、金曜フリー走行でピエール・ガスリーが8番手のタイムを叩き出し、大きな希望をもたらしたといっても言いだろう。

スペック3が投入されながら冴えない表情のピエール・ガスリー しかし、走り終えたばかりのドライバーふたりに感想を求めると、意外にもその口は重かった。もちろん、表面上はパワーユニットの進歩をポジティブに語りはしたが、言葉とは裏腹にその口ぶりからは第7戦・カナダGPでスペック2を投入したときのような、沸き立つ興奮は感じられなかった。

「とてもうまく機能してくれたと思うよ。まだ初日だから十分な経験のないなか、全開で走ってリスクを冒す必要はないし、安全策で走ったけどね。でも、第1ステップとしてはポジティブだった」(ガスリー)

 マシンをドライブしていて、1000馬力近いエンジンの出力が30馬力程度上がったとしても、その差を感じ取ることは難しいと言われる。F1のなかでは非力とはいえ、もともとマシンのトラクション性能を大きく上回るパワーを持っているのだから、加速時に加速Gの違いを感じることもない。

 ところが、データ上では大きな出力アップが確認でき、実際にラップタイムも大きく向上したにもかかわらず、ドライバーたちの口ぶりは冴えなかった。

「あまりの加速Gで首が痛いよ、もっとトレーニングが必要だね!って言えればよかったんだけど(笑)、F1マシンというのはもともとものすごい馬力があるわけで、そこにいくらかのパワーが加わっても、それを感じ取るのは簡単ではないよ。このサーキットでふたつのパワーユニットを比較したわけではないし、前戦のシンガポールはフルダウンフォースでパッケージもセットアップもまったく違うから、直接の比較は難しいしね」(ブレンドン・ハートレイ)