ドライバーにしっくりこないホンダ新エンジン。
鈴鹿までに成熟できるか (3ページ目)
ICE(内燃機関エンジン)の燃焼特性が変わったことで、シーズン当初から良好だったドライバビリティの特性もやや変わり、改めてファインチューニングが必要になった。
「初めてコース上で走らせてみれば、ダイナモとは違うところもあるものだよ。大きな問題ではなくてマッピングなどの調整をやって、これからもっとパフォーマンスを引き出していかなければならない。鈴鹿とそれ以降のレースで、しっかりと使い切れるようにすることが重要なんだ」(ガスリー)
最大の問題になったのは、シフトアップ時のオシレーション(共振)と呼ばれる現象。
シフトアップした際、一旦落ちるエンジン回転数が収束するまでに時間がかかり、結果的に振動を発すると同時に、ギアボックスのシフトアップに時間を要してしまうのだ。
「シフトアップしたときにエンジン回転数が落ちた後のハンチング(収束するまでのブレ)ですね。そのあたりもダイナモでは確認して持ってきていますし、(ダイナモと実走で)ある程度の差があることは想定していました。ですが、実際に走ってみると想定以上の差があったんです。
ダイナモで(実走状態の)実車と同じ揺れを作るというのはなかなか難しくて、それをいろいろやり過ぎるとギアボックスの痛みが早くなり、ギアボックスが壊れてしまいます。なので、ダイナモでテストをするときは、多少痛みが少なくなるようなセッティングでテストをしています。ただ、そういう条件でテストしてきた結果が、実走での挙動とは想定外に差があったということです」(田辺テクニカルディレクター)
金曜の夜にホンダはトロロッソ側と協議し、急遽ロシアGP明けの月曜からトロロッソ側のエンジニアも合流して英国ミルトンキーンズのHRD UKにあるベンチで、オシレーションやドライバビリティなどさらなる煮詰め作業を行なうことに決めた。ソチでの実走データをもとに、さらに精緻で実走との誤差の少ないシミュレーションを行ない、鈴鹿に向けてセットアップを熟成させようというわけだ。
3 / 4