【F1】昨季とは大違い。
テストで判明した今季型タイヤの特性とは? (2ページ目)
「今年のタイヤは去年とはかなり違う。センシティブで、グレイニングが起きやすいんだ。1、2周でタイムが落ちてしまう」(パストール・マルドナド/ウイリアムズ)
「このタイヤは基本的にすごく"弱い"。タイヤを長く保たせるという点に関しては、現時点ではドライバーとしてデグラを抑えるためにやれることがほとんどないんだ。どんなに工夫してどんなライン取りをしようとも、タイヤを酷使してしまう」(セルジオ・ペレス/マクラーレン)
バルセロナでは4日間とも気温が低く、タイヤが本来の性能を発揮できるコンディションではなかったという要素もある。ピレリのレーシングマネージャーであるマリオ・イゾラは、シーズンが始まり暖かくなればこの性能低下の速度はゆるやかになると見ている。
「今回のデグラデーションは低温とグレイニングによるものだから、さほど気にする必要はないだろう。初年度もそうだったが、レース本番ではライフ(タイヤの寿命)が20%も伸びたんだ。寒いコンディションで行なうテストでのデグラデーションはあてにならないんだ」
たしかに、楽観的な見方をしているレッドブルのようなチームも少なくない。セバスチャン・ベッテルは「ものすごく速いペースでラップタイムが落ちていく。でも、今はタイヤにとって寒すぎるコンディションだから、タイヤがきちんと機能していないんだ。単純にそれだけのことだよ」と語る。
だが、異なる見方もある。
寒さの影響も多少はあるが、基本的にはこのグレイニングとデグラデーションは今季型ピレリタイヤの生来的な特徴なのではないかという見方をしているチームもある。暖かくなれば多少は改善されるだろうが、この傾向は変わらないと推測している。
「これが今季型タイヤのナチュラルな素性だと思う。問題は寒さじゃないよ。シーズンが始まれば多少はマシになるかもしれないけど、4、5回ピットストップするレースもあるはずだ」(ピエール・ヴァッシェ/ザウバー)
「今回のデグラデーションは摩耗とグレイニングによるもので、温度によるものではなく、タイヤそのものの特性なのではないかと考えています。ヘレスでは路面の粗さという要素があったのでタイヤ本来の素性が隠れていましたが、バルセロナに来てタイヤ本来の難しさが見えた形です」(松崎淳エンジニア/フォースインディア)
松崎エンジニアによれば、セットアップ熟成とマシン開発によってどれだけタイヤをいたわることができるかがカギになってくるという。バルセロナで得たデータを分析し、チーム側がどれだけ対策を練ることができるかが勝負になるのだ。
また、ラップタイムは燃料搭載量によって大きく変わるため、テストで本当の速さを比較するためには、ベストタイムではなくレースシミュレーション中のタイムを見るべきだ。それならば、レース本番とほぼ同じ燃料搭載量で走っているからだ。
バルセロナの2日目、3日目にはレッドブルやロータス、ウイリアムズの数人のドライバーがレースシミュレーションを行なったが、フェラーリやマクラーレンは行なわなかった。まだマシン側の調整が十分でないとの判断だ。
つまり、現時点で全車がイコールコンディションで走っておらず、まだ正確な戦力比較は難しい。
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