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【競馬】騎手・古川奈穂、幼少期からの深い動物愛と目指す騎手像「馬の上ではかっこよくありたい」 (2ページ目)

  • ハル飯田●文 text by Haru Iida

 2024年11月で通算50勝にも到達。となれば次は100勝が大きな目標とも考えられるが、古川は「ひとつでも多く勝てるようにと目の前の目標をクリアしていくほうが頑張れるタイプなんです」と、1レース、1レースにフォーカスする姿勢を重視している。目指すのは、幼き日に競馬場で見つめたジョッキーの姿だ。

「馬の邪魔をしない、馬が気持ちよく走れることを追求していきたいです。体格によって追い方は人それぞれ違いが出るのですが、トレーナーさんにいろいろと教えていただきながらフォームも磨いています。私はもともとファンとして見た騎手の姿にあこがれてこの世界に入ったので、自分も馬の上ではかっこよくありたいなと常々思っています」

【「見ている人が納得する競馬」が信条】

 古川が所属するのは、今や「世界のYAHAGI」と名高い矢作厩舎だ。リーディング上位常連の坂井瑠星騎手とともに、名伯楽・矢作芳人調教師のもとで経験を積んでいる。

「矢作先生からはレース前の指示どおりに乗れなかったときや、よくない内容だったレース後にはもちろんお叱りをいただきますが、その後もズルズル怒られるようなことはありません。すごく人情味やメリハリのある方です。だから自分もしっかり切り替えられますし、続けて乗せていただけるのもありがたいです」

 矢作調教師はデビュー前から古川に「見ている人が納得する競馬」を意識づけ、結果が伴わなくとも内容がよければ「今のレースはよかった」と賛辞を送って挑戦と成長を促してきた。そうした指導を受けてきた古川は「信頼される騎手」を理想に掲げている。

「GⅠを勝てるような騎手になるのが今の大きな目標ではありますが、そのためにはまずレースに乗らないといけません。ひとつひとつ勝利を積み重ねて、信頼してもらえるようになるのが一番の近道なのかなと考えています」

 2024年11月には佐賀競馬場で実施された「JBCスプリント」でGⅠ級競走への初騎乗を達成。このレースは自身の初勝利から3年半ぶりとなるバスラットレオンとのタッグ再結成であり、同馬の現役最終レースでもあった。思い出深い一頭と初めて味わった大舞台の経験は、これからの古川の大きな糧となるはずだ。

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