【競馬】期待の若手女性騎手・古川奈穂 「ウマ女」中学生が極秘受験で競馬の世界へ飛び込むまで (2ページ目)
【内緒の受験で競馬学校へ】
そんな「ウマ女」な中学生生活を送るなか、古川の転機となったのは、高校1年生の時だ。JRA(中央競馬)としては16年ぶりの女性ジョッキー・藤田菜七子騎手(2024年引退)がデビューを果たしたタイミングだった。
「過去にも女性騎手の方がいらっしゃったのは知っていましたが、菜七子さんを競馬場で見たときにかっこいいなと思って、徐々に騎手になりたい、競馬学校に入りたいという気持ちが強くなりました」
騎手になるためには競馬学校へ通ってから騎手免許試験を合格する必要があり、その生徒の多くは中学校の卒業と同時に入学する。すでに高校へ進学しており乗馬経験もほとんどない古川にとって競馬学校への入学は高いハードルであった。しかし「好きなことをやりなさい」と背中を押してくれた両親の存在もあり、挑戦を決意した。
競馬学校に入るためには高倍率の入学試験をくぐり抜けなければならない。前例のない古川の挑戦を学校側は容認してくれたものの、周囲への影響を考慮し「合格までは秘密にすること」が条件だった。そのため古川の騎手への歩みは、"内緒の受験"からスタートすることとなった。
「一次試験はなんとかなったんですが、二次試験は4泊5日の長期間で、その間は携帯電話も使えません。日程が文化祭とちょうど被っていたので、(文化祭の)準備にはずっといたのに急に音信不通になって、試験が終わったら何食わぬ顔で戻ってくる不思議な人になっていました(笑)。友だちも心配してくれたんですが、何も話せないので、とにかくいろいろと誤魔化していましたね」
無事に入学試験合格を果たすと、古川はホームルームの時間に授業用タブレットでクラスメイトに自分の名前を検索してもらうことにした。競馬学校騎手課程36期の合格者として公示された名前をみんなが見つけると、「そういうことになりました」と報告。校内でも競馬好きとして知られた少女が、本格的に騎手としての歩みを始めた。
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