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【競馬】期待の若手女性騎手・古川奈穂 「ウマ女」中学生が極秘受験で競馬の世界へ飛び込むまで (4ページ目)

  • ハル飯田●文 text by Haru Iida


これまでの歩みを明るく、誠実に話す古川 photo by Yasuda Kenjiこれまでの歩みを明るく、誠実に話す古川 photo by Yasuda Kenjiこの記事に関連する写真を見る

【留年を経てプロデビュー】

 競馬学校では厳しい課程を納めなければならないだけでなく、成長期の生徒にとっては体重管理との戦いもあり、ひとたび馬にまたがれば常にケガのリスクもつきまとう。幸い古川は食事や体重の管理を苦にしないタイプだったが、左肩のケガのため卒業試験を受けられず留年も経験した。

「もちろん3年で卒業するつもりで入学していたので、留年したときはとても悔しかったです。ただ、ケガをした状態で無理をするよりも、もう1年しっかりやろうと切り替えてやれたのがよかったと思います」

 そして2021年2月、ついにJRAの騎手免許試験に合格。1期遅い入学の37期生と同年に晴れてデビューが決まり、永島まなみ騎手とともに5年ぶりのJRA所属女性騎手誕生は大きな話題を呼んだ。

 古川が在籍していた頃の競馬学校では携帯電話は一切禁止で、固定電話も共用。流行りの話題を知る機会もほとんどなく、話題は自然と競馬のことばかりだったという。

 当時の思い出を、古川は笑顔でこう振り返る。

「私は乗馬競技の選手じゃなくて競馬ファンからの入学だったので、競馬関係者の方の顔と名前は最初から一致していて、知識ではアドバンテージがありましたね」

 馬券を買ったこともなかった両親の間に生まれた少女は、ふとしたきっかけから競馬好きの女子高生になった。そして偉大な先輩の背中を追い、カメラをステッキに持ち替えて、厳しくも華やかな騎手の世界へと足を踏み入れたのだった。

後編に続く>>

【Profile】
古川奈穂(ふるかわ・なほ)
2000年9月13日生まれ、東京都出身。154cm、44kg。栗東・矢作芳人厩舎所属。小学6年生の時に競馬に惹かれ、高校を中退して競馬学校に入学。ケガのため1年留年するも、37期生として卒業。2021年3月にデビューし、開催3日目で初勝利を飾る。24年11月にはJRA通算50勝を達成した。

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