高性能エンジンを備えたアスクビクターモア。クラシック戴冠への課題は「折り合いだけ」 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Sankei Visual

 これまでに5戦して、大崩れすることなく、着実に勝ち星を積み重ねてきたアスクビクターモア。陣営は同馬について、どう評価しているのだろうか。話を聞いてきた関東競馬専門紙のトラックマンが語る。

「アスクビクターモアについて厩舎スタッフは、『身体能力が高く、エンジンもすごい』とその秘めた性能に一目置いています。実際、追い切りの併せ馬ではほとんど遅れたことがないですからね。

 加えて、『年が明けて、馬体重が増えてきているのは大きい』とスタッフ。優れた能力に見合った馬体になってきた、といったところでしょうか」

 ただ、クラシック本番に向けては気がかりな点もあるという。それは、これまでのレースでも時折見せてきた"折り合い"面での不安だ。先述のトラックマンがその詳細を伝える。

「負けた2戦(初戦と3戦目)は、いずれもスタート後に引っかかっており、その点について陣営はかなり気をもんでいるようでした。年明けから田辺騎手に手綱を任せるようになったのも、『がっしりと抑えられる騎手に継続騎乗してもらいたかった』とのこと。距離面や同馬の能力に関しては何ら不安がなく、スタッフは『とにかく折り合いだけ』と口にしていました。

 続けて、『レースでエンジンを"空ぶかし"せずに回ってこられれば......』とスタッフ。大一番ではなおさら、精神面の安定が最大のポイントとなりそうです。ただ逆に言えば、"空ぶかし"せずに回ってくれば、勝ち負けの自信もあるといった雰囲気も感じられました」

 弥生賞を制して、クラシック第1弾のGI皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)に向かうアスクビクターモア。得意舞台での戦いゆえ、折り合い面を克服し、より高いパフォーマンスを発揮できれば、戴冠を果たしてもおかしくない。

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