【競馬】外国人ホースマンが成功させた
画期的な競馬ビジネスの「裏ワザ」
日本では馴染みのなかった競馬ビジネスを次々に成功させたスウィーニィ氏。『パカパカファーム』成功の舞台裏
連載●第9回
開業わずか11年でダービー馬ディープブリランテを輩出した『パカパカファーム』(北海道新冠町)の成功の秘密を探っていく好評連載。前回は、同牧場のオーナーであるアイルランド人のハリー・スウィーニィ氏が、パカパカファーム開場直前に手掛けていた『ピンフッキング』という競馬ビジネスについて紹介した。引き続き今回は、そのピンフッキングにおける、スウィーニィ氏が試みた"戦略"にスポットを当てる。
2月17日に東京競馬場で行なわれたダートのGIフェブラリーステークス。砂の猛者たちが集まるこのレースには、昨年、無敗でNHKマイルカップを制し、秋には古馬相手の天皇賞・秋で5着と健闘したカレンブラックヒル(牡4歳)が参戦。デビュー以来、芝のレースを使ってきた同馬が、初体験のダートレースでどんな走りを見せるのか。その「適性」に注目が集まっていた。
カレンブラックヒルの父は、現役時代に皐月賞や天皇賞・秋など、芝GIを5勝したダイワメジャー。そしてその父(カレンブラックヒルの祖父)は、言わずと知れた大種牡馬サンデーサイレンス。ダイワメジャーの産駒は芝を得意とする馬が多く、また、サンデーサイレンス産駒のGI勝ちも、ほとんどが芝レースのもの。そのため、この血を引くカレンブラックヒルのダート適性を不安視する声は少なくなかった。
しかし面白いのは、芝で活躍する産駒を数々残したサンデーサイレンスは、そもそもダートの本場であるアメリカでデビューし、ケンタッキーダービーを含むGI6勝を挙げていること。本来であれば、ダートを得意とする産駒を次々に輩出していても不思議はなく、日本という異国の地に来なければ、サンデーサイレンス産駒の芝コースへの高い適性はわからなかっただろう。
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