W杯ベスト8へ。いい距離感が生んだ新たな「なでしこスタイル」

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 グループステージの鬱憤を晴らすかのような攻撃力を見せ、ワールドカップ初出場のオランダを下し、なでしこジャパンがベスト8進出を決めた。

見事なミドルシュートを決めた、阪口夢穂(正面)の得点を喜ぶなでしこ見事なミドルシュートを決めた、阪口夢穂(正面)の得点を喜ぶなでしこ ようやく一歩前進。スタメンが試合ごとに入れ替わり、なかなか互いの距離感を掴めずにグループリーグ3戦を戦ってきた。決して満足いくとは言えない内容ながら、勝ち星を重ねて掴んだ首位通過で得たのは、6日間のインターバル。この6日間がなでしこたちに変化をもたらした。

 取り組んだのはワンタッチ、ツータッチパスでの組み立てだ。人工芝の影響でミドルパスの精度が上がらないことを受けての対策だった。と言っても、いきなり調子が上がるわけではなく、ようやく自分たちのスタイル確立へのヒントを見出したのは試合前日。選手たちの表情が初めて緩んだ。

 その成果のひとつがキックオフ後すぐに現れる。3分、川澄奈穂美(INAC神戸)から大儀見優季(ヴォルフスブルク)とつなぎ、最後に中まで走り込んできたのは右サイドバックの有吉佐織(日テレ・ベレーザ)だった。これまでよりも積極的な攻撃を見せると、その有吉が10分に先制点をマークした。

1 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る