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W杯ベスト8へ。いい距離感が生んだ新たな「なでしこスタイル」 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 最後まで、エクアドル戦のような閉塞感はなかった。互いを知り尽くした大儀見と大野の2トップは細かい動き直しと、互いの距離感の長短で独特のリズムを生み、宮間、川澄の両サイドハーフもポジションを微妙に変えながら、時には中央にまでスライドして展開に絡む。

 貴重な追加点となった78分の阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)のゴールは練習のイメージ通り。大儀見のヒールパスを宮間が大きくマイナスへ、待ち構える岩渕真奈(バイエルン・ミュンヘン)が蹴りだす瞬間、聞こえた「スルー!」の声。その主である阪口は「置きに行きました」と力まずに振り抜いた。強烈なミドルシュートの力を持ちながら、代表では思うように決まらなかった阪口の鮮やかなゴールは、この6日間の連係のたまものだった。

 川澄からのクロスに大儀見と宮間が交差しながら走り込んできたり、鮫島と大野とのコンビネーションがあったりと、攻撃のアイデアが湧き出していた前半。何より、ひとつ、ふたつ止まりだったボールへの反応に、三つめの動きが頻繁に出てきたことは収穫だ。

 そしてこの攻撃を支えたのが全員の守備意識だった。この日のボランチは阪口と宇津木瑠美(モンペリエ)。3月のアルガルベカップでハマったコンビだ。相手の中盤3枚をボランチと両サイドハーフのプレスで徹底的にケアしていく。宇津木、阪口の個の強さに加え、やはり2トップの献身的なプレスは効き目抜群。また、両サイドバックやセンターバックがビルドアップする際には、カウンターを警戒するリスクマネージメントにも気を配る。その結果、オランダのシュートを2本に抑えた。

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