有村智恵に聞く優勝争いのプレッシャーに打ち勝つ方法 メンタルが強い女子プロは? (3ページ目)
【有村プロが考える、メンタル最強女子プロとは】
――政田選手のように、優勝争いを演じながらもあと一歩届かない、という時に考えることはありますか?
優勝する時って、運の要素も大きいんです。私も、優勝した時と2位になった時で、ゴルフの内容に大きく差があったかって言われたら、そうでもなくて。「なんで今のが入ったんだろう」っていうパットが入ったりとか、ミスショットが「なんであんないいところに?」と思ってしまうほどのバーディーチャンスについていたり、ということが結構あったんですよね。
強いて挙げるとすれば、自分が勝てない時期や、優勝争いをしながらも優勝を逃してしまった時などは、「勝負に勝つ練習」をしていましたね。たとえば、子どもと遊ぶ時も勝負をしたりするじゃないですか。何事も勝負だと思って、そういう時も絶対負けないし(笑)。練習ラウンドでも、キャディーさんとゲームをしたりしていました。このホールでバーディーを取ったら私の勝ち、取れなかったら罰ゲーム、みたいにゲーム性のある練習を通して、「勝つ経験値」をどんどん増やすことを意識していました。
――ちなみに、有村さんから見て「メンタルが強いな」と思う選手は?
申ジエ選手と小祝さくら選手、ですね。私の場合、自分を強く見せていないとメンタルを保てないんです。普段の自分のままだと、絶対緊張に負けてしまうので、強い自分を演じていないと、(ゴルフも)崩れやすいって思ってしまうんですけど、ジエとかさくらちゃんは、試合中も普段と全然変わらない、常にリラックスしているように見えるじゃないですか。そういう選手って強いなって思うし、笑顔でずっとプレーできる選手ってやっぱりすごいなって思います。そういう選手は、一緒に回っていても嫌ですよね。「この人緊張してないんだ」って思っちゃって、プレッシャーにもなりますし、平然と強気に攻めている選手を見ると、「こんなに攻めてくるんだったら、こっちも攻めなきゃ」って気負っちゃいますよね。
それでマインドを揺さぶられてしまうこともあるので、優勝争いをしている時は、私も攻め方は意識していました。「このパットをショートしたらダメかも」とか、「このショットをセーフティーに行ったら優勝できないぞ」っていう攻めの気持ちは、優勝争いならではの駆け引きというわけじゃないですけど、最終日最終組の全員で優勝を争っている時などは、持ち続けるようにしていました。
【Profile】有村智恵(ありむら・ちえ)
1987年11月22日生まれ。プロゴルファー。熊本県出身。
10歳からゴルフを始め、九州学院中2年時に日本ジュニア12~14歳の部優勝。3年時に全国中学校選手権を制した。宮城・東北高で東北女子アマ選手権や東北ジュニア選手権、全国高校選手権団体戦などで優勝。2006年のプロテストでトップ合格。2007年は賞金ランク13位で初シードを獲得した。2008年6月のプロミスレディスでツアー初優勝。2013年からは米女子ツアーに主戦場を移した。2016年4月の熊本地震を機に日本ツアーへ復帰。2018年7月のサマンサタバサレディースで6年ぶりの優勝を果たすなど、JLPGAツアー通算14勝(公式戦1勝)をあげる。
2022年に30歳以上の女子プロのためのツアー外競技「LADY GO CUP」も発足させた。
2022年11月に、妊活に専念するためツアー出場の一時休養を表明。2024年4月に双子の男の子を出産した。
3 / 3