パリオリンピック女子ゴルフ 永久シードプロが「笹生優花と山下美夢有なら金メダルも狙える」と言う理由 (2ページ目)

  • 古屋雅章●取材・構成 text by Furuya Masaaki

 笹生さんは、飛距離はもちろん、スイングの完成度、オーソドックスなバッティングスタイルと、オールラウンドに高い技術を持っています。そのポテンシャルからすると、もっと結果を残していてもいいと思うのですが、どうも彼女の場合、モチベーションのスイッチの入り方にムラがあるような感じがします。その点が少し惜しいな、と思っています。

 たとえば、優勝した全米女子オープンの前後の試合では予選落ち。安定した成績が残せていません。ですが、逆の見方をすれば、全米女子オープンのような、彼女のモチベーションが上がる試合であれば、高い集中力、技術、強いメンタルというものが発揮されるのではないでしょうか。オリンピックは、まさにそういう試合だと思います。

 山下さんのゴルフは、笹生さんのムラッ気があるようなゴルフとは好対照。毎週、どの試合でも同じ準備をして臨んでくる、そのコンディショニングとメンタルの作り方にはすごいものがあると思います。

 ゴルフの場合、最終的には対人ではなく、自分との闘いになるわけですから、プレッシャーがかかった時に、自らをコントロールすることは余計に難しくなってきます。その意味でも、山下さんがオリンピックの出場権がかかった全米女子プロでの最終日、最終18番ホールでの2.5mほどのバーディーパットを入れたことに、彼女の勝負強さが表われていました。結果的にあのパットが入ったから、古江彩佳さんを"0.38ポイント"上回って、逆転で代表入りを果たしましたしね。

 狙った優勝はできなかったものの、2位タイに入って、狙っていたもうひとつの勝負には見事に勝つことができました。その集中力とメンタルの強さは、オリンピックのような特別な舞台でこそ、一段と増すのではないでしょうか。

 会場となるル・ゴルフ・ナショナルは、ほぼ平たんなコースながら、アンジュレーションがあって、随所に池が配置され、ショットの正確性が求められるコースのようですね。我慢比べは、山下さんの得意とするところ。笹生さんも、優勝スコア4アンダーという我慢比べの勝負となった2021年、2024年の全米女子オープンを制覇。ふたりの奮闘を期待しましょう!

森口祐子(もりぐち・ゆうこ)
1955年4月13日生まれ。富山県出身。1975年にプロ入り。ツアー通算41勝。現在6名しかいないJLPGAツアー永久シード保持者のひとり

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る