渋野日向子の全英女子3位。現場にいた村口史子プロが見た「凡人とは違うところ」 (4ページ目)

  • 柳川悠二●取材・構成 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 トップの位置が低く、コンパクトに振りきるスイングは、男子プレーヤーに近いスタイルへの改造ですが、体幹が強く、肉体的なポテンシャルが高い渋野選手だからこそ、可能となる力強いスイングです。一般的な女子プロには、まず真似はできません。

 渋野選手のスイング改造に否定的な意見が多いのは、そういったことを含めて「結果を出している選手がなぜ?」といったことが理由なのでしょうが、全英の練習場では素振り用の棒をガンガン振って、本番でもショットが振りきれていました。スコアを崩した2日目こそ、右に出ていましたが、それもすぐに修正されていました。

 本人はまだ満足していないかもしれませんが、結果が出ると相乗効果で自信にもつながっていくもの。自らが求めてきたスイングに対して、少しずつ自信を持ち始めているのは確かだと思います。ただ、結果が出ないと自信はすぐに消えてしまいます。新たなスイングを自分のモノにできるかどうかは、今後の活躍次第といったところでしょうか。

 ともあれ、メジャーの優勝争いというプレッシャーのなかで、自分の求めるスイングを貫き通せる精神力も彼女の武器です。凡人とは、その辺りが大きく異なります。

 3年前は、メジャーの舞台でハツラツとプレー。お菓子を食べたりしながら、こんなにも緊張せずにプレーできるプロがいるのか、と衝撃を受けました。日本どころか、世界中探してもそんな選手はいないのではないでしょうか。

 そこからまた、さまざまな経験をして、精神的にはさらに強くなっていると思います。その部分が、この3年間で最も成長したところかもしれません。

 3位という結果を受けて、インタビューエリアにやってきた渋野選手は、ウルッと泣きそうになっていました。それを見て、私もウルッとなってしまって......。このままでは放送事故になってしまうと思って、私には彼女の涙の意味が聞けませんでした。

 悔しさだったのか、それとも3位という結果にホッとしたのか。

 いずれにせよ、2週前のエビアン選手権、そして前週のスコットランド女子オープンで予選落ちを喫していた渋野選手にとって、3位という結果は大きな収穫だったと思います。これからまだシーズンは残っていますが、今後の活躍も期待したいです。

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