渋野日向子の全英女子3位。現場にいた村口史子プロが見た「凡人とは違うところ」 (3ページ目)

  • 柳川悠二●取材・構成 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 3日目、渋野選手はパットのタッチがものすごく合っているように見えました。そこで私は、ラウンド後のインタビューで「ロングパットがいい感じだった」と本人に伝えると、彼女は「自分ではわからないです」というようなことを言ったんですね。

 それを聞いて、私は「そうなんだ」と思いつつ、「わからない」ということは自信がないのかな、と感じて。そしてそれが、最終日に露呈してしまったというか......。

 17番のイーグルパットもショートしましたが、最終日は3パットしてボギーを叩くなど、パットがショートするシーンが何度か見られました。結局、パッティングにおける"自信のなさ"によって、トップをとらえることができなかったのかもしれません。

 17番のイーグルパットは3年前なら入っていたか? う~ん、それはどうかわかりません。若いうちは、パッティングでも思いきってガンガン打てるものなんですよね。

 渋野選手もあの栄光からさまざまな経験をして、ゴルフの怖さも味わってきたのでしょう。ゴルファーというのは経験を重ねるごとに、怖いもの知らずなゴルフはできなくなるものなんです。

 そうした"壁"に直面しているのが、現在の渋野選手かもしれません。それでも、メジャー3位という結果は立派。凡人にはできない芸当です。

 継続的に続けているスイング改造に関しては、苦労して形にしてきたものが、結果(スコア)に結びつくようになってきていると思います。スイングを変え始めた頃は飛距離も出ていませんでしたが、今回は振りきれるようになって距離も出てきました。それが、難しいリンクスコースでも上位争いを演じることができた一因ではないでしょうか。

 それだけ振りきれるというのは、それだけ自分でも自信を持ててきている証拠。「こうやろう」と思っていることが、体と脳とか、すべてにリンクし始めてきたのかな、と。

 プロの場合、通常はトップの位置を変えるだけでも勇気がいること。それを、あそこまでスイングをガラリと変えるのには、相当な覚悟が必要です。メジャーを勝つようなトップ選手であれば、なおさらです。

 それでも、彼女はその大胆なスイング改造に踏み切りました。見据えているものが、それだけ高いところにあるのでしょう。

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