渋野日向子の全英女子3位。現場にいた村口史子プロが見た「凡人とは違うところ」 (2ページ目)

  • 柳川悠二●取材・構成 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 しかし、予選落ちが続くなかで、久しぶりの決勝ラウンド進出。それで、気持ちも吹っ切れて、前向きになれたのか、3日目には再び「66」の好スコアをマークして2位に浮上しました。

 トップとは5打差ありましたが、何が起こるのかわからないのが全英です。風が強く吹けば、トップに立つ選手はどうしても守りに入ります。そこに、つけ入る隙が生まれるかもしれない――初日トップに立った時には抱くことのなかった"期待"が、その時には膨らみ始めていました。

 最終組で首位のアシュリー・ブハイ選手(南アフリカ)とのラウンドとなった最終日。出だしの1番ホール、渋野選手はティーショットをいい感じで打っていきました。とにかくドライバーは振れていて、アゲインストの風にも負けない強い当たりでした。

 前日、ティーショットでミスをした2番でも同じミスを繰り返さず、冷静にスイングできているように見えました。結果、バーディーが先行。いいスタートがきれて、ますます楽しみになりました。

 その後、3番、4番とボギーを打ちましたが、5番でイーグル。ブハイ選手にプレッシャーをかけていきます。5番も前日はバンカーに入れて、ボギーにしてしまったホール。そこでイーグルを決めるのですから、「持っているな」と思いましたね。

 以降、ブハイ選手と一進一退の戦いが続くなか、14番で渋野選手はダブルボギー。再び5打差に開いて、やや苦しい展開になりました。

 ところが、やはり全英では何が起こるかわかりません。今度はブハイ選手が15番でまさかのトリプルボギー。一気に2打差に縮まり、いよいよ渋野選手にもチャンスの目が出てきました。本人もそう思ったのではないでしょうか。

 惜しかったのは、2オンに成功した17番パー5。10メートル以上の長いイーグルパットではありましたが、決めればトップに並ぶ状況でした。

 しかし、そのパットは打ちきれずにショート。バーディーパットを決めて1打差まで迫ったものの、最終ホールのセカンドをグリーン奥に外して万事休す。ブハイ選手、チョン・インジ選手(韓国)に1打及ばず、3位となりました。

 わずかに優勝に届かなかった要因を挙げるとすれば、パッティングでしょうか。

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