【木村和久連載】善行の押し売りか。「ターフエイド」をどう考える?

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第222回

 英国生まれの紳士のスポーツであるゴルフでは、自分がボールを打って、ディボット跡をこさえてしまったら、砂で目土をして、新たな芝生が早く育つようにしなさい、と。それがマナー、と教えられました。

 そうした行為を、最近では「ターフエイド」と呼んでいます。

 言っていることは、正論です。まこと正しい、素晴らしきアマチュアゴルファーの精神です。

 けど、昨今のゴルフ人口減少の折、言わせてもらえば「ターフエイド」をやらされているから、新しいゴルファーが増えないのではないでしょうか。ビギナーは、目の前のショットのことで頭がいっぱいです。だから、自らが作った芝生の穴に砂を撒くなんて、そんな余裕はないのです。

 今回のテーマにおいては、反対意見の方も結構いるでしょうし、「ゴルフの冒涜だ」とお怒りになる方もいるでしょう。ですが、ゴルフをもっと楽しい方向に改善していかないと、ゴルフ人口の減少は食い止められません。あえて、一石を投じたいと思います。

 まず単純が疑問から。

●ディボット跡の砂埋めは"仕事"では?
 本音を言えば、ディボット跡の砂埋めは、キャディーさんなどゴルフ場のスタッフが、時間が余った時にやればいいと思います。

 実際、お客さんのラウンドが終わりつつある夕暮れ時、キャディーさんが手分けをして、コースに砂を撒いている姿を見たことがあります。シニアの人材活用のアルバイトで、1時間でいくらかの時給を払って、砂撒きスタッフを雇っているコースもあります。

 けど、お客さんに対しては、人手が足りないのか、「ターフエイドに参加してください」と、呼びかけているのが一般的です。

 だから、乗用カートには必ず砂を入れる目土袋が付いています。あまり使われていませんけどね。使われていない目土袋は、中が空っぽゆえ、すごく揺れます。乗用カートの後方で、ブラブラしている目土袋を見ると、ちょっと虚しい気もしますが、それが現実です。

●ディボット跡の砂埋めは「マナー」なのか?
 みなさん、かつて学校に通っていた頃の、掃除の時間を思い出してみてください。我々はたしか、中学校ぐらいまでは、授業が終わった放課後にやらされていましたよね。

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