【男子ゴルフ】2012年、石川遼は「最後のピース」を手に入れた

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

三井住友VISA太平洋マスターズで2年ぶりの優勝を飾って涙した石川遼。三井住友VISA太平洋マスターズで2年ぶりの優勝を飾って涙した石川遼。 2012年シーズン、石川遼は試行錯誤を繰り返してきた。それは、1勝もできなかった2011年シーズンも同様だった。しかし石川にとっては、この2年間が非常に貴重で、重要な時間だったと思う。

 振り返れば2007年、15歳でプロツアーを制した。翌2008年にプロ入りすると、即1勝を挙げて賞金ランキング5位という好成績を収めた。その勢いのまま、プロ2年目の2009年には10代で賞金王を獲得。2010年もツアー3勝を飾って賞金王争いを演じてきたが、それらは余りにも出来過ぎだった。

 石川自身、その間については「たまたま運良く勝てたり、すべてがいい方向に転がったりして、ちゃんと自分で階段を上って来なかった」と語る。つまり石川は、その一足飛びで駆け上がった階段をもう一度、自分で一段一段上る必要があった。それが、この2年間でもあった。

 海外のメジャー大会に出場し、"世界"という舞台を知ったのがきっかけだった。そこで石川は、世界のトッププレイヤーの凄さを目の当たりにした。自分にはない技術やアイデアを持った選手たちに度肝を抜かれ、自らの力のなさを改めて認識した。そして、自分に足りないもの、身につけなければいけないことがたくさんあることを知った。

 例えて言うならば、日本で戦っているうちは100ピースのパズルを、自分の引き出しから技術やアイデアを出して完成させれば良かったのが、世界で戦うには1000ピースのパズルを完成させなければ通用しないことがわかった。そしてそれには、正しい1000ピースを見つけ出すための、技術やアイデアを自分が持っていなければいけないことを痛感した。

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