【男子ゴルフ】全米オープン予選落ちで、
クローズアップされなかった石川遼の「変化」

  • 武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko text by Sportiva
  • photo by Getty Images

全米オープンではパットに泣かされたものの、ショットは安定していた石川遼。全米オープンではパットに泣かされたものの、ショットは安定していた石川遼。「(ボギーが続いても)そんなに気持ちは焦っていなかったし、自分のプレイにも集中できていた。最後までいいゲームプランでやれていました。ただ、ミスパットが本当に多かった。最近、こんなにミスパットをするようなラウンドはなかったんですが、今日は(パットに)集中するのに苦労する感じがありました。グリーン上で、うまく戦えませんでした」

 石川遼が挑んだ3度目の全米オープン。過去2大会は決勝ラウンドに駒を進めたが、今年は2日目に大きくスコアを崩して予選落ち。初日よりもコースが乾いて一層難しくなかったコンディションの中、石川は4度3パットを叩くなど、前日まで入っていた1m~1.5mの距離をことごとく外して涙した。

 ラウンド後、石川は悔しさを噛み締めてすかさず練習場へ直行。パッティンググリーンでパットの練習を繰り返した。その後、落ち着きを取り戻した彼は、こう語った。

「狙ったところに打ち出せないパットが多かった。本当に最初の打ち出しの数十cmだと思いますが、何かが狂っていました。パッティングの微妙なずれは、1m先では何cmかずれて、1m半先ではさらに数cmずれることになる。その(最初の)ずれを修正できませんでした。ロングパットにしても、初日にオーバーしたり、ショートしたりして、怪しいなと思っていたにもかかわらず、その反省が生かせなかった。特に欧州の選手がロングパットのタッチはうまいと思うのですが、自分にはそこが(世界で戦うための)これからの重要なポイントになるというか、課題になると思いました」

 石川自身、「もともとそんなにうまくない」と言うパッティングの上達は、世界で勝つためには必要な要素だろう。初日、15位発進と好スタートを切れたのも、本人が開口一番、「パッティングの1、2mのフィーリングが良かった。それで、落ち着いてプレイできました」と振り返っているのだから、なおさらだ。

 とはいえ、パット以外は安定したゴルフを見せていた。5月のクラウンプラザ招待から米ツアーに参戦し、そこでの経験を糧にして、石川自身、技術的にも精神的にもかなりの手応えを得ていた。

「うまくコントロールできていた」というショットが、そのひとつ。昨年末に大幅に改造したスイングが固まってきたという。

「年末にスイングのイメージを極端に変えて、そのスイングで(体が)気持ちよく動けるようになってきた。スイングに関しては、今までで一番いい状態だと思っています。ここ数カ月はスイングを大きく変えていません。これまでは、フェースの使い方や足の使い方などを頻繁に変えていたのですが、これほど長い期間、変えていないのは初めて。それだけ、今のスイングに自信を持っていて、(自分の中に)基盤となるものができている。もちろん、ミスするときもありますが、ミスの原因がすぐにわかって、パッと直せる」

1 / 2

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る