検索

【プレミアリーグ】ミケル・アルテタ流最強アーセナルのつくり方 際立つ「改善へのこだわり」 (2ページ目)

  • アルトゥル・レナール●文 text by Arthur Renard
  • 山中忍●翻訳 translation by Shinobu Yamanaka

【すべての流れが綿密に計算された練習】

「結果に関しては、あれこれとフィードバックする代わりに、シンプルな質問を投げかけた。『期待していた成果は得られたかい? その理由はどこにあったと思う?』のようにね。もちろん、練習メニューの意図や、その具体的な進め方については、事前にしっかりと話をして、細かい点も確認する。数的優位を作り出す方法にしても、ビルドアップのタイミングや、ボールを奪い返した直後のトランジションについても。

 ポジショナルプレーを、より実戦的に身につけさせるやり方についても、よく話をした。ポジショナルロンド(一定エリア内で攻撃側が守備側にボールを奪われないようパスを回し、かつ前に進むための位置的優位を体得させるミニゲーム)が一般的だが、ミケル好みのドリルではなかったのでね。彼は、より細かい設定を加えることで、もっとピッチ上での現実味があるドリルにしたがっていた。

 彼は、スペースに対する感覚の優れたMFだったから、選手たちにも、パスを味方に届けるのではなく、味方がつこうとしているスペースに出すことのメリットを強調してもいた。そうすれば、受け手が動きを止める必要がないから、チームの攻撃自体もよりスムーズになる。そのコンセプトをパスのドリルに取り込めば、選手たちは、試合でも同じようなパターンを認識して、実践できるようになる。そういうやり方が得意だったね、ミケルは」

 アルテタなりのやり方は、練習全体の進め方にも見られた。ファン・ローンが説明する。

「コーチの多くは、ボールを使わずにウォームアップをしたあと、パスとシュートのドリルから、ポジショナルプレーを磨くためのドリルへと移行して、最後に11対11の紅白戦という流れで練習を行なうだろう。ミケルは、統合できるものは統合して、無駄な時間を省いていた。次のメニューに移るまでの時間も、なるべくかからないように配慮しながらね。

 たとえば、ウォームアップでもボールを使って、難易度を高めるためにいろいろな条件や制限も設けていた。次は、パスとシュートのドリルから、ポジショナルプレーを念頭に置いたセッションに移行して、またパスのドリルに戻ってから、ミニゲームとフィニッシュの練習で終わるようなパターンだ。

 すべての流れが綿密に計算されていた。そうでなければ、最大限の成果を得ることは難しい。セッションの合間に、ミニゴールを移動させたり、ビブスを取りにいったり、そのための指示をいちいちスタッフに出しているようでは、そのたびに選手たちの集中力が途切れてしまう。ミケルが組む練習メニューは、すべてが体系立ってアレンジされていて、効率よく、効果的に進行していった。今のトップチームのパフォーマンスや結果からも、練習段階からのミケルによる細かな気配りが見て取れる」

2 / 4

キーワード

このページのトップに戻る