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【プレミアリーグ】序盤戦でビッグクラブの明暗くっきり リバプール連覇の確率はわずか7%? (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【今季のアーセナルは「強守全攻」】

 一方、昨シーズン5位のニューカッスルは3勝3分5敗の14位。よもやの体たらくだ。チャンピオンリーグとの併用に対応できず、強度が低下した選手も少なくない。

「このクラブに来てから4年が経つが、最も厳しい時期を迎えている」(ブルーノ・ギマランイス)

 キャプテンが苦しい胸のうちを明かし、エディ・ハウ監督も「自信を失いかけている選手がいる」と語っていた。芳しくない症状だ。

 そして残るビッグクラブで現在のプレミアリーグにおける「2強」の明暗が、残酷なほどにわかれている。

 6勝5敗──。昨季王者のリバプールが極度の不振に陥った。

 ディオゴ・ジョタが交通事故で亡くなり、ルイス・ディアスをはじめ数人の主力が移籍したとはいえ、昨シーズンの負け数(4敗)を早々に追い越した。特に守備陣がもろく、昨シーズンと比べて失点が激増している。OBのジェイムズ・キャラガーいわく「壊滅的」。

 特に問題なのは、両サイドバックだ。ロングボールの対応を苦手にしているジェレミー・フリンポンとケルケズは、多くのクラブのターゲットになっている。フィルジル・ファン・ダイクとイブラヒマ・コナテが空中戦を制しても、セカンドボールの回収で両サイドバックが後れを取るケースが散見した。

 データサイト『opta』の優勝確率は序盤戦を如実に反映し、アーセナルは64.86%、マンチェスター・Cは21.98%、リバプールはわずか7.39%しかなかった。

 その苦しみあえぐリバプールを尻目に、昨シーズン2位のアーセナルが絶好調だ。11節を終えてマンチェスター・Cに勝ち点4差をつけて首位に立っている。

 相手陣内で試合を進め、プレッシャーをかけ続ける。守備面もゴールを目標に、強度の高いプランが設定されている。決して堅守速攻の類(たぐい)ではない。あえて造語するなら「強守全攻」だろうか。

 しかも、全ポジションにタイプの異なるタレントを揃えているため、チャンピオンズリーグとの併用でコンディションを落とすリスクも低い。負傷のためにカイ・ハヴァーツが1試合の出場に留まり、マルティン・ウーデゴールとノニ・マドゥエケが5試合を欠場したにもかかわらず、8勝2分1敗は総合力の証だ

 アーセナルは隙のない戦い方でシーズン序盤戦を終えた。現時点では誰もが認める優勝候補筆頭である。今シーズンのプレミアリーグは「ガナーズ(アーセナルの愛称)」を軸に中盤戦に突入する。

◆プレミアリーグ序盤の明暗(2)>>「三笘薫のプレーが窮屈に見えた理由」

著者プロフィール

  • 粕谷秀樹

    粕谷秀樹 (かすや・ひでき)

    1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン社)など多数。

【フォーメーション】リバプール、アーセナル…etc.プレミアリーグ主要クラブ基本布陣

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