メッシを躍動させた不世出のMF、最後の雄姿 ブスケツは「センターハーフの概念を変えた」 (3ページ目)
そのラシン・サンタンデール戦で、ブスケツは熟練の司令塔の落ち着きを見せた。的確なパス出しで攻撃のリズムを刻んだ。結局、引き分けだったが、そこから最強時代を作り上げた。
その後、ブスケツは「ブスケツの息子」から瞬く間に脱却し、最高のプレーメーカーの名を刻みつけた。まさにバロンドールに値する活躍だった。彼のおかげで、リオネル・メッシ、ダビド・ビジャ、ルイス・スアレスらが得点を量産した。ブスケツのピッチの指揮官ぶりは、ロドリやマルティン・スビメンディ(アーセナル)にも受け継がれているが、まさに主役を躍動させる演出家と言えるだろう。
「ブシ(ブスケツの愛称)はセンターハーフの概念を変えた。ブシがいなかったら、ロドリもいないだろう。最高のMFだ」
そう語ったのは、インテル・マイアミを率いるハビエル・マスチェラーノ監督。ブスケツとはバルサ時代はチームメイトでもあった。
「それに、ブシは『監督になるつもり』と話していた。監督としてあらゆる素養があると言える」
マスチェラーノは証言を続けたが、それはこれからのサッカー界の楽しみだ。
現在、MLSカップ1回戦でインテル・マイアミはナッシュビルと戦っている。3戦勝負の2試合を終えたところで1勝1敗。第3戦は11月8日(現地時間)に行なわれる。
はたして、ブスケツは最後にどんな「物語」を作り出すのか。リオネル・メッシという稀代の選手がチームメイトにいる。不世出のMFに最高のエンディングを――。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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