久保建英が見せつけた技術の確かさ レアル・ソシエダが日本サッカーに与えた教訓とは?
久保建英を擁するレアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)がジャパンツアーを敢行し、V・ファーレン長崎、横浜FCと2試合を戦った。長崎に1-0で敗れた後、横浜FCに1-2で勝利。ただしその結果にはほとんど意味がないだろう。プレシーズンのチーム合流1週間足らずで、長旅や時差に加え、主力3人が不在。久保も日本での合流だった。強行軍にも程がある。
では、ラ・レアルが日本サッカーに与えた教訓は何だったのか?
横浜FC戦に先発、前半で交代した久保建英(レアル・ソシエダ) photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る ラ・レアルが厳しい条件だったからこそ、あらためて浮き彫りにした事実がひとつあった。
「サッカーは"技術を出せるか"がモノを言う」
基本技術が高く、それを戦術のなかで、強度のなかで出せる選手は戦えるし、違いを生み出すことができる。
長崎戦でのラ・レアルの選手のコンディションは最悪に近かったが、プレッシングに少しも焦っていない。確かに高いレベルのテンポは生み出せなかったが、技術的な確信があるだけに、ハイプレスに面食らうことはなかった。慌ててロングボールを蹴り込むような愚を犯していない。後半は久保の登場でプレーが改善した。わずか26分間で久保が再びピッチを去り、失点を喫したが。
ラ・レアルはひとりひとりがサッカー技術の確かさを示していた。
横浜FC戦は、そこが顕著に出た。選手のコンディションがいくらかマシになったことで、体力的な負荷が下がったのだろう。技術を出せる条件が整い、横浜FCを凌駕した。前後半で選手もシステムも大幅に変更し、安定した戦いにはならなかったが、何気ないターンひとつとっても、展開のパスひとつとっても、質の違いを見せつけていた。
その最たる選手が久保だった。右サイドでボールを受けると、完璧なコントロールからボディフェイントだけで逆を取っている。体の使い方から予測を許さないモーションでスルーパス。一瞬でシュートの軌道を作って、鋭く左足を振る。自らの技術でタイミングを作り出し、ジョン・ゴロチャテギに出したパスはPKを誘うなど、完全に局面を制していた。
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著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。





