久保建英が見せつけた技術の確かさ レアル・ソシエダが日本サッカーに与えた教訓とは? (2ページ目)
【19歳の日本人ディフェンダーを獲得】
その久保は別として、ラ・レアルの理念は下部組織スビエタの育成から徹底されている。スビエタこそクラブの源泉と言える。ここから育った選手がトップチームで戦い、指導者としても戻ってくるサイクルがある。
昨シーズンまでトップチームを率いたイマノル・アルグアシルも、今シーズンから率いることになったセルヒオ・フランシスコも、その流れである。セルヒオ監督は昨シーズン、Bチームであるサンセを2部(レアル・マドリード、バルセロナなどのビッグクラブもBチームはすべて3部以下)に昇格させた。シャビ・アロンソ監督(現レアル・マドリード監督)以来の快挙だ。こうして半永久的に、クラブの理念が強化されるのだ。
今回のジャパンツアーではスビエタ出身の若手、ゴロチャテギやイニャキ・ルペレスが重用されていたが、彼らは次の時代のラ・レアルを背負う候補だろう。ミケル・オヤルサバルやアンデル・バレネチェアなど、チームの半数以上が下部組織出身だけに、士気も落ちない。
また先日、ラ・レアルはJリーグで出場経験がない(カップ戦出場のみ)DF喜多壱也を京都サンガから獲得することを発表した。ラ・レアルのBチームであるサンセへの期限付き移籍(買い取りオプション付きで、その場合の移籍金は150万ユーロ/約2億6000万円)。19歳の喜多は189cmの長身で、ヘディングで競り合える点は先行投資の理由になったはずだが、やはり左利きでサイドチェンジのボールを蹴れる点が大きかっただろう(左利きの選手は"タイミングを外せる"と言われ、希少価値があり、重用される傾向にある)。
サンセは昨シーズンまでトップチームのヘッドコーチだったジョン・アンソテギが率いる。彼自身もスビエタ出身でトップチームでもプレーし、指導を重ねてきた"全身ラ・レアル"と言える人物。元センターバックの監督は、サイクルのなかで喜多にどんな化学反応を起こせるか。
今回のジャパンツアーでも、目立った日本人選手はいた。
2 / 3