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レアル・マドリードのシャビ・アロンソ新監督はどう戦う? キーマンは20歳のレフティ (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【3-4-3はあるか?】

 ヴィニシウスの左ウイング、エムバペの偽9番を前提にしてのレバークーゼン方式との折衷案として、MFをダイヤモンド型にした3-4-3が考えられる。

 GKティボ・クルトワ、3バックにアントニオ・リュディガー、ミリトン、ハイセン。中盤の底にチュアメニを配し、右のインサイドハーフにバルベルデ、左にギュレル、トップ下がベリンガム。3トップはロドリゴ、エムバペ、ヴィニシウス。

 1990年代のバルセロナ、アヤックスの定番システムだ。どちらも非常に攻撃的でチャンピオンズリーグも制覇している。ただし、現在ではほとんど見られなくなったシステムでもある。

 攻撃に特化したシステムで、押し込むことを前提にしている。敵陣での攻守に向いている反面、自陣での守備ブロックを構築できないのが弱点で、それがほぼなくなった理由だろう。

 しかし、レアル・マドリードならば弱点を克服できるかもしれない。

 攻撃から自陣での守備に移行する際、チュアメニをディフェンスラインに入れて4バック化できる。これはかつてのバルセロナ、アヤックスでも定番にしていた予防策だが、その際に下がるアンカーに連動してトップ下が引く。現在のレアル・マドリーならベリンガムがチュアメニに連動して中央に引くことになり守備の固さは担保できそうである。ヴィニシウスはともかく、ロドリゴは守備もしてくれるので4-4-2に近い形の守備ブロックを形成できるだろう。

 もう1つの前提条件として70%くらいの保持率が必要になるが、こちらは大きな問題はないはず。ギュレル、バルベルデはチュアメニをサポートしてビルドアップの軸になり、どちらかはシャドーの位置へ入っていける。ボランチとシャドーの両方をこなせるふたりは新生レアル・マドリードのエンジンになるべき存在。クロース&ルカ・モドリッチを継ぐイメージだろうか。

 エムバペは前線近くで自由に動き、代わりにベリンガムがゴール前へ入っていく。

 アレクサンダー=アーノルド、カルバハルのサイドプレーヤーをどこで起用するかという問題は残るが、左サイドバックの層の薄さからしても、あえてサイドバックを起用しないという手はある。

 これはひとつの案であって、シャビ・アロンソ監督が戦力を見極めながら最適解を出していくだろう。ただ、ギュレルがいいプレーをしているのは間違いなく、軸となる選手のひとりになっていきそうではある。

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著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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