サッカー日本代表とは大違い ワールドカップ優勝候補アルゼンチンは「消化試合」をいかに戦ったか (2ページ目)
【メッシの後継者も登場】
決勝点もアルゼンチンらしかった。
センターバックのフィードを受けたディオゴ・アルマダ(リヨン)がスペースを見つけ、一気にセンターラインをドリブルで越え、一瞬反応が遅れたチリDFをしり目に進撃。同じくラインの裏を狙ったフリアン・アルバレス(アトレティコ・マドリード)にパスを通した。アルバレスは完璧な抜け出しでGKと1対1になり、トップスピードのまま少しボールを浮かせてネットを揺らした。まさに電光石火だった。
そして、彼らの不屈さが出たのは次のコロンビア戦(6月9日)だ。
予選突破に向けて負けられないコロンビアに対し、アルゼンチンはなかなか得点が決められない。ルイス・ディアス(リバプール)に次々とディフェンスがかわされてしまい、先制点を失う。さらに70分には退場者を出し、ひとり少なくなった。万事休す、と思われたところで、アルマダが右足を鋭く振り抜き、同点弾を決めた。信じられないほどの勝負への執念だ。
「消化試合」
すでに本大会出場を決めていても、そんな意識は彼らにない。もともと目標設定が本大会出場にはなく、目の前の試合に負けられないことにあるからだろう。絶対的な勝利至上主義の先に「ワールドカップ優勝」もある。どんなメンバーであれ、どんな状況であれ、それは変わらない。
当然、ポジション争いもし烈だ。
チリ戦では、17歳のフランコ・マスタントゥオーノ(リーベル・プレート)が代表デビューを飾っている。右サイドからカットインし、左足でゴールを"襲撃"。メッシもいつかは代表を去るが、後継者は控えているということか。マスタントゥオーノはすでにレアル・マドリードとの契約が内定し、バルセロナのラミン・ヤマルに匹敵するレフティーアタッカーとして"新時代の希望"と目される。
率直に言って、森保ジャパンが勝てる気がしない相手だ。
それは不思議な感覚ではある。なぜなら、メッシのような規格外の英雄を除けば、他の選手はレベルにおいて著しく劣ることはないからだ。たとえば同じポジションで比べて、右サイドアタッカーの久保建英はジュリアーノ・シメオネ(アトレティコ・マドリード)とは利き足もタイプも違うが、劣っていることはない。
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