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中村敬斗がドリブラーとして進化した一方、伊東純也は別人のような低パフォーマンス 2部降格組の夏はいかに? (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【中村はどのリーグでも通用する】

 続く第5節のパリ・サンジェルマン戦でスタメンに復帰した中村は、その試合でも先制点を決めて勝ち点1に貢献すると、第8節のオセール戦まで5試合連続となる怒涛のゴールラッシュ。絶対的な存在としてチーム内での地位を確立すると同時に、ヨーロッパ主要リーグにおける日本人の連続試合得点記録も更新した。

 中村の成長は、数字だけにとどまらない。むしろ、数字には見えないパフォーマンス向上の部分こそ、今シーズンの中村が手にした大きな収穫と言っていい。

 持ち味のシュート精度に磨きをかけたことはもちろんだが、特に今シーズンの中村は、昨シーズン後半から見せるようになっていた「自ら仕掛けて突破を図る」プレーが大きくレベルアップ。これは、サイドアタッカーとしてリーグ・アンで活躍するための必須条件でもあるが、中村がドリブラーとして進化を遂げた点は見逃せない。

 しかも、突破後のクロスボールの質も向上させたことで、カットインが自慢の中村と対峙する相手DFは対応がますます難しくなった。結果的に、それらの武器を兼備したことがゴール数の大幅増につながっている。

 印象的だったのは、残留争いの真っ只中にあった第29節・RCランス戦の終了間際のシーンだ。

 この試合で先制ゴールを決めていた中村は、守備でも奮闘して疲労困憊していたなか、ロングカウンターを発動した場面で猛烈な長距離スプリントを見せると、最後は相手ペナルティエリア内で味方からのパスを受けてフィニッシュ。ゴール後に足を痙攣(けいれん)させていたその姿からは、たくましさと頼もしさがうかがえた。

 そのスタミナも含め、どのリーグでも通用するだけの実力をつけた中村がこの先、どのようなキャリアを築いていくのか──。今夏の動向も含めて楽しみにしたい。

 一方、リーグ・アン3年目の伊東は、総じて難しいシーズンを過ごした。

 リーグ戦33試合に出場し、出場時間はチーム内3位の2702分。4ゴール3アシストをマークするなどスタッツ的には上々だったが、高いパフォーマンスを発揮していたのは主にシーズンの序盤戦に限られていた。

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