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FIFAスキャンダルから10年 ブラッター、プラティニ...「サッカー界のドン」たちの現在 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【有罪判決で懲役刑になったサッカー界の大物も】

 2015年5月、アメリカの司法長官ロレッタ・リンチが発表した最初の被告は14人で、そのうち9人はFIFAの現職および元幹部。「ボー・オウ・ラック」で逮捕されたのは、そのうちの7人だった。

 だが、スイスのホテルでの逮捕劇は単なる始まりにすぎず、調査が拡大するにつれ、起訴された個人と企業の数は41にまで増加した。

 このうち少なくとも27人が有罪を認め、10人以上が裁判で有罪判決を受けた。彼らの処分はサッカー界での活動資格剥奪から、罰金、懲役刑まで多岐にわたった。

 ブラジルサッカー連盟の元会長でサンパウロ州知事だったホセ・マリア・マリンはアメリカに引き渡され、2017年にブルックリンの裁判所で汚職、資金洗浄、詐欺の罪で有罪判決を受け、4年の懲役刑を言い渡された。さらに120万ドル(当時のレートで約1億3000万円)の罰金と334万ドル(約3億7000万円)の返還を命じられた。彼は刑期のほとんどをアメリカの刑務所で服役し、2020年のパンデミック中に年齢と健康問題のため仮釈放された。

 パラグアイのCONMEBOL会長、フアン・アンヘル・ナプウトは、アメリカで9年の懲役刑を言い渡された。

 FIFA副会長兼北中米カリブ海サッカー連盟/CONCACAF会長、ジェフリー・ウェブは、汚職、詐欺、資金洗浄の罪を認め、当局に670万ドル(約7億4000万円)以上を返還した。

 アルフレド・ハウィットCONCACAF元会長は有罪を認め、当局と協力し、ラファエル・エスキベル(ベネズエラサッカー連盟会長)とエドゥアルド・リ(コスタリカサッカー連盟会長)も罪を認め、有罪判決を受けた。

 票の売買に関与していたとされる前出のニコラス・レオズやリカルド・テイシェイラなど一部の関係者は、死亡したり行方不明となったりして、裁判所の被告席に立つことはなかった。ジャック・ワーナーは、トリニダード・トバゴ国内で逃亡を続け、引き渡しに抵抗している。国外に出た途端、インターポールによる国際逮捕状が待っている。

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