FIFAスキャンダルから10年 ブラッター、プラティニ...「サッカー界のドン」たちの現在 (4ページ目)
【FIFA改革はどうなる?】
一方、プラティニも、ここまでの月日を「煉獄」「奪われた10年間」と表現している。
プラティニにとってはこのスキャンダルが、彼のサッカーにおける政治の世界でのキャリアを終結させることとなった。UEFAとFIFAの理事、そしてUEFA会長と着実に階段を上ってきたプラティニは、次期FIFA会長とも目されていた。言われもない嫌疑は「それを阻止したい者による謀略だった」と彼は述べている。
その間、プラティニのUEFAでの秘書だったジャンニ・インファンティーノが、2016年のFIFA会長選挙に勝利している。ほんの1年前には考えられない結果だった。
プラティニは現在、公の席に姿を見せることはあまりないが、2025年5月初旬、彼の最初のチームであるナンシーがリーグ2昇格を果たした際、その祝典に参加し、喜びを表明した。また判決後のインタビューではFIFAやUEFA、フランスサッカー協会で公式役職に復帰する意向はないと明言している。
しかし同時に、プラティニは「サッカーの未来に関する提言」を持っていることも示唆した。その内容はいまだ明らかにされていないが、今後もサッカーに関わっていきたい気持ちはありそうだ。2024年末には、サッカーにさらなる興奮とスペクタクルをもたらすため、「選手の数を11人から10人に減らしてはどうか」という提案をしている。
スキャンダルを受けて、FIFAはいくつかの改革を実施した。まず政治的機能と運営管理機能を分離させた。さらに、役員の任期を制限し、倫理審査を義務化し、透明性を高めるため独立した倫理委員会を設立した。
W杯の開催地決定のプロセスも改訂された。現在はFIFA総会で全体が投票し、開催国を決定するようになり、投票者はFIFAの倫理規則を遵守する必要がある。またFIFAは国連薬物犯罪事務所とも協力し、倫理プログラムを立ち上げた。これには、不正を報告する者を保護するための堅固なシステムや、報復からの強力な保護措置が含まれている。
インファンティーノ会長は、「FIFAゲートがFIFAを、腐敗していた組織から世界的に尊敬され、信頼されるスポーツ団体へと根本的に変革させた」と述べている。しかし、同じような権力構造は依然として存在し、サッカー界の腐敗との闘いはまだ始まったばかりだと指摘する者も多い。
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