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久保建英の苦言「地獄だった」にも、地元メディアは「ウィットに富み、常に話題になるコメントを提供」と高く評

  • ウナイ・バルベルデ・リコン●取材・文 text by Unai Valverde Ricón

現地発! スペイン人記者「久保建英コラム」

 久保建英は今シーズンここまでケガなく過ごし、キャリアハイの出場試合数、出場時間を達成。また彼のウィットに富んだ日々のコメントは、地元メディアやサポーターから高く評価されているという。

 今回はスペイン紙『ムンド・デポルティボ』でレアル・ソシエダの番記者を務めるウナイ・バルベルデ・リコン氏に、そんな久保の近況を伝えてもらった。

【ここまでケガなくプレー】

 レアル・ソシエダのイマノル・アルグアシル監督は、スター選手たちを酷使し続けた例年と異なり、今シーズンは明確なローテーションポリシーを打ち出して、できる限り選手たちをフレッシュな状態に保とうと努力してきた。

引き分けに終わったビジャレアル戦は後半41分までプレーした久保建英 photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA引き分けに終わったビジャレアル戦は後半41分までプレーした久保建英 photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る 久保建英もそうした起用のなかのひとりとなった。試合終盤に交代したり、ベンチスタートになったりと、これまで以上にローテーションされていることから、チーム内での重要性が失われてきたように感じられるかもしれない。しかし、実は今シーズン、すでにキャリアのなかで最も多く試合に出場している。

 ここまで公式戦46試合に出場し、2022-23シーズンの44試合を上回っている。何の問題もなければ、残り6試合すべてに出場して52試合となり、日本代表での7試合を加えると、とんでもない数字となる。さらに出場時間(3,030分)も2シーズン前の最長記録を更新している。

 久保が今シーズン出場しなかったのはわずか5試合のみ。ラ・リーガのバルセロナ戦は累積警告による出場停止、格下相手の国王杯最初の2試合(ホベ・エスパニョール戦、コンケンセ戦)は招集外、ヨーロッパリーグのニース戦とラ・リーガのベティス戦はベンチだった。

 これだけ出場できているのは、ケガをまったくしていないからだ。久保を警戒する対戦相手は以前にも増して厳しくマークしてくるが、審判団はラフプレーから彼を守ってはくれない。しかし、幸いにもフィジカル面に問題を抱えることなく、いつでも出場できる状態を維持してきた。

 それは久保自身のフィジカル管理がよかったこともあるが、イマノルのローテーションの効果が大きいだろう。特に厳しい試合が続いたシーズン前半は何度もメンバー変更を行なってきた。久保には常に細心の注意を払い、重要な試合にはフレッシュな状態で先発させ、いくつかの試合ではスーパーサブとして起用するなど、最高の状態で起用できるように取り組んできた。

 チームメイトの多くがケガで戦線離脱してきたことを考えると、試合数はミケル・オヤルサバルに次いでチームで2番目に多く、出場時間は5番目に長い久保のケースは奇跡に近いと言える。

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著者プロフィール

  • 高橋智行

    高橋智行 (たかはし・ともゆき)

    茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、リーガ・エスパニョーラを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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