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【プレミアリーグ】佐野海舟の市場価値が右肩上がり 滅法強い1対1は「マンC新時代」の旗手になれる能力 (2ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【「カイシュウは大した男だよ」】

 また、佐野は1対1に滅法強い。14節のバイエルン戦でジャマル・ムシアラを、17節のレバークーゼン戦ではフロリアン・ヴィルツを完封した。ともにドイツ代表どころか、明日のサッカー界を担うといわれるスーパースター候補を無力化したのだ。

「ムシアラを自由にするなと指示されていたので、ある程度はできたかなと思います。でも、自分としては納得していません。突き詰めなければいけない部分がまだまだあります」

 ムシアラを封殺したにもかかわらず、さらに上を目指す佐野の心意気は頼もしい。当然、マインツのボー・ヘンリクセン監督も絶賛する。

「相手にパスが渡った瞬間は、あえて間合いを詰めず、まだ距離があるなと錯覚を招くようにフェイクを仕掛ける。相手の重心が自分のエリアに傾いた瞬間、ボールを奪う。カイシュウは大した男だよ」

 今シーズンの大ブレイクによって、佐野は移籍市場の「推奨銘柄」になりつつあるという。ただ、あくまでもマスコミ辞令。憶測の域を出ないどころか、どう考えてもフィクションだ。

「ムシアラを圧倒したバイエルンが佐野を高評価。今夏のターゲットに」

 こうした情報を見かけるようになっているが、このクラブの中盤センターはヨシュア・キミッヒ、アレクサンダル・パブロヴィッチ、コンラート・ライマー、ラファエル・ゲレイロなど多士済々だ。佐野を獲得する必要性はまったくない。バイエルンのトップターゲットはヴィルツ(前出)であり、ウリ・ヘーネス名誉会長も「是が非でもほしい」と公言してはばからないほどだ。

 マインツからバイエルンが大きなステップアップだとしても、現状では絵に描いた餅にも至っていない。従って、今シーズン終了後は残留が最善策と考えられる。

 2025-26シーズン終了後には、北中米ワールドカップが開催される。新天地で定位置獲得を目指す刺激的なチャレンジよりも、ある程度の出場機会が約束されているはずのマインツのほうが、日本代表にも選ばれやすい。クラブチームのレギュラーは、日本代表でも選考基準のひとつだ。

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