【プレミアリーグ】佐野海舟の市場価値が右肩上がり 滅法強い1対1は「マンC新時代」の旗手になれる能力
佐野海舟(マインツ)の評判がすこぶるいい。
遠藤航と守田英正の名コンビではなく、「海舟を使え」との指摘があちらこちらから聞こえてくる。「遠藤をセンターバックに、海舟を中盤に」というアイデアも目にした。いまやヨーロッパ屈指のハードワーカーとして人気・実力とも急上昇中の24歳ミッドフィールダーに対する期待は、日に日に高まっている。
佐野海舟がドイツからイングランドへ渡る可能性は? photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 日本代表を率いる森保一監督は慎重居士だ。守田と遠藤のバランスを簡単に崩すとは思えない。とはいえ、今年2月の欧州視察中に佐野と面談した経緯からも、北中米ワールドカップの構想にこの男が含まれている公算は大きい。プライベートの問題が解決した今、佐野が再び日本代表のユニフォームを着る日は近い、と筆者は推測している。
北中米ワールドカップを遠藤が33歳、守田が31歳で迎える事実を踏まえても、中盤センターの層は厚ければ厚いほど目標の優勝につながっていくはずだ。さらに田中碧、旗手玲央、鎌田大地などが佐野の活躍に刺激されれば、世界制覇も現実味を帯びてくる。ベスト8では小さい。目標はでかいほうがいい。
今シーズン、鹿島アントラーズからブンデスリーガのマインツに移籍した佐野は、開幕節のウニオン・ベルリン戦は85分で、3節のブレーメン戦は79分でピッチをあとにしたものの、その他26試合はスタメンフル出場。無尽蔵のスタミナと計算されたポジショニングに基づくボール奪取で攻守をつないでいる。
28節終了現在、2504分に達したプレータイムは、マインツのフィールドプレーヤーでは最長だ。56本を数えたシュートブロックはブンデスリーガ3位、45本のインターセプト数は5位。堂々たるデータを残している。
佐野のようなタイプは、「3つの肺を持つ男」とか「地球上の3割をカバーする」と表現されてきた。その昔なら韓国代表の朴智星(パク・チソン)、近年ではフランス代表のエンゴロ・カンテ(現アル・イテハド)、ウルグアイ代表のフェデリコ・バルベルデ(現レアル・マドリード)だ。彼ら同様、佐野の貢献度も非常に高い。
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著者プロフィール
粕谷秀樹 (かすや・ひでき)
1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年
、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、 海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム 、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出 版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン 社)など多数。