チャンピオンズリーグの激闘を制するクラブを大予想 この10年で5度優勝のレアル・マドリードが大本命? (2ページ目)
【エムバペがフィットし始めたレアル・マドリード】
井川洋一(スポーツライター)
<優勝予想>
本命◎:レアル・マドリード
対抗○:リバプール
穴▲:バルセロナ
CL優勝候補筆頭のレアル・マドリード。この10年で5度優勝の勝負強さ photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 奇を衒(てら)うことなく予想すれば、レアル・マドリード、リバプール、バルセロナの3チームを外すことはできない。
本命はレアル・マドリードだ。CLにめっぽう強いスペインのクラブは昨季に通算優勝回数を15とし、後続(2位は7回のミラン)に倍以上の差をつけた。ここ10年でも、実に半数となる5度の優勝を遂げている。
キリアン・エムバペを迎えた今季は当初、攻撃陣のコンビネーションが崩れ、リーグフェーズでは5節まで黒星が先行。しかし、名将カルロ・アンチェロッティが試行錯誤しながら最適解に近づいていくと、エムバペもフィットし始め、6節以降の5試合――マンチェスター・シティとのプレーオフ2試合を含む――で6得点と調子を上げている。
さらなる好材料としては、ダビド・アラバが長期離脱から復帰したことで最終ラインからの組み立ての質の向上が見込まれ、たびたびセンターバックを務めていたオーレリアン・チュアメニも本職の中盤に戻れそうだ。
また、入団1年目の18歳のエンドリッキは、CLデビュー戦となった1節シュツットガルト戦でいきなりゴールを決めて才能の片鱗を見せ、直近の国王杯のレアル・ソシエダ戦では抜歯で欠場したエムバペの代わりに前線で先発し、試合唯一の得点を決めている。王国ブラジルの最新の傑作がベンチに控える豪華な陣容も、その伝統と等しく、相手の脅威となる。
リバプールを対抗としたが、今季の状態だけで言えば、本命でもおかしくない。アルネ・スロット新監督は1年目とは思えないほどの機能性を植えつけ、プレミアリーグとCLというクラブレベルの至高の舞台で、首位に立っている(CLはリーグフェーズを首位でフィニッシュ)。筆者は4節レバークーゼン戦をアンフィールドで取材したが、リバプールは凱旋したシャビ・アロンソ監督のアウェーチームにほとんど何もさせず、4-0と圧勝した。
個人的に一番印象に残ったのは、攻撃時のトレント・アレクサンダー=アーノルドの的確な位置どりと、受けてから瞬時に放つ最高のパスだ。モハメド・サラーの今季の爆発も、同サイドの彼からの見事な配球があってこそだろう。組み合わせの櫓(やぐら)が前もって決まった今季、順当に勝ち上がれば、準決勝でレアル・マドリードと対戦することになる。アレクサンダー=アーノルドの移籍先として噂に上がる相手との、事実上の決勝となるか。
反対の山からは、リーグフェーズ最多の28得点を記録し、2位で終えたバルセロナが勝ち進んでくると見る。ロベルト・レバンドフスキ、ラミン・ヤマル、ラフィーニャから成る破壊的な3トップは今大会随一で、どんな相手からも複数得点が期待できる。国内では11月からふた月ほど不調に陥ったが、今は復調傾向にあり、CL決勝トーナメントでは比較的相手にも恵まれた。
著者プロフィール
西部謙司 (にしべ・けんじ)
1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。
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