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プレミアリーグ移籍市場で話題の日本人選手たち 専門家も「やはり三笘薫は注目を集めている」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【リバプールは超優良運営クラブ】

――先の冬の移籍市場で最大の焦点のひとつとなったのが、リバプールのトレント・アレクサンダー=アーノルドのレアル・マドリードへの移籍でした。結局、契約には至りませんでしたが、彼は今季終了時に現行契約が満了するので、マドリーは今夏、昨年のキリアン・エムバペに続いて、最高のタレントをフリーで迎えられるかもしれません。リバプールとしては、モハメド・サラーとフィルジル・ファン・ダイクも同じ状況にあるので、主力の3人を一気にフリーで手放すことになれば、悪夢ですね。

「そうかもしれないですね。ただ個人的には、アレクサンダー=アーノルドは攻撃面では最高のサイドバックだと思いますが、守備面には今も問題があると思います。そしてリバプールでは21歳のライトバック、コナー・ブラッドリーが台頭していますし、レアル・マドリードに誘われたら、ノーと言うのは難しい。こうした状況を考慮すると、あるいはこの3人のうち、もっとも移籍の可能性が高いのは26歳のアレクサンダー=アーノルドかもしれません。

 一方、32歳のサラーはこの年齢にして、今まさにキャリアハイと言えるほどの活躍を披露しています。プレミアリーグの得点とアシストの両ランキングで、後続に大きな差をつけてトップを走っているなんて、信じられないことです。ただし年齢を考えると、このパフォーマンスがいつまで続くかはわからない。加齢とともにケガもしやすくなりますし、急に調子が落ちることもないとは言えない。おそらくクラブとしては単年契約を結びたいはずで、そのあたりで交渉がこじれているのかもしれませんね。33歳のファン・ダイクにも同じことが言えると思います。

 リバプールは人件費がマンチェスター・シティ、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、そしてアストン・ビラよりも低いにもかかわらず、現在のプレミアリーグで首位に立っています。つまり彼らはイングランド、いや欧州、あるいは世界でもっとも優れた運営がなされているクラブと言えます。それだけに、ベテランと複数年契約を結ぶようなことは、基本的にしないのです」

――アレクサンダー=アーノルドは生え抜きの選手なので、売却して移籍金が入ればそのままクラブの利益になります。昨今、プレミアリーグの利益と持続可能性のルール(PSR)を守るには、この方法がもっとも合理的だと考えるクラブが増えていて、チェルシーやマンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッドらは、サポーターの心情や彼らとの結びつきよりもこちらを優先し、生え抜きの選手を次々に手放しています。

「おっしゃる通りです。その意味で、リバプールはアレクサンダー=アーノルドを売却したほうが、財政面は間違いなく安定すると言えます。ただしフリーで出て行かれると話はまったく違うので、いずれにせよ新契約を結ぶべきでしょう」

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