ネイマールのサントス復帰の裏事情 本人、クラブ、サウジアラビア...それぞれの思惑 (3ページ目)
一方のサントスは、できるだけ長く、少なくとも2026年までは、ネイマールにプレーしてほしいと考えている。W杯の時、母国を代表する選手が自チームにいることの意味は大きい。そのためにも、できるだけネイマールにとって居心地をよくしておきたい。
ネイマールのサントス帰還は、今のところウィンウィンの状況だ。ネイマールはW杯に向けてプレーするピッチを得て、サントスはスポンサーを得て、サポーターは情熱を得た。
皆がネイマールのことを「子どもじみている」「考えが足りない」などと言うが、私はちょっと違うと思っている。たとえば彼がPSGからサウジアラビアに行ったのも、ただ金に目がくらんだわけではない。パリでの出来事に疲れたネイマールは、ストレスなくサッカーができる場所を求めていた。また、今後ますますサッカー界で存在が大きくなるサウジアラビアとコネを作ることも重要だった。33歳となったネイマールは、その先のことも考えなくてはいけないのだ。
ネイマールの復帰イベントの日はあいにくの雨だったが、それでもヴィラ・ベルミーロ(サントスのスタジアム)には2万2000人の観客が詰めかけ、「オレ、オレ、オレー、ネイマール、ネイマール」の声が彼を包んだ。ネイマールは号泣した。この涙は偽物ではないだろう。W杯でプレーしたいという目標も、彼の心からの望みだろう。
しかし、もしピッチでうまくいかなかった場合でも、ネイマールはサントスを手にする足掛かりを作ることができた。唯一のチャンスを彼は最大限に生かしている。かなりクレバーなやり方だ。
ネイマールがサッカーの次に好きなものは、カードゲームのポーカーだ。ただの趣味ではない。世界大会まで行ったこともある腕前だ。ポーカーは頭脳ゲーム。バカにはできない。相手の手を読み、自分の考えを悟らせず、はったりをかます。
ネイマールは今、まさにサッカー界を相手にポーカーをプレーしているのだ。
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