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ネイマールのサントス復帰の裏事情 本人、クラブ、サウジアラビア...それぞれの思惑 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【契約期間が6月までと短い理由】

 経営に関わるだけでなく、ネイマールの父親は最近、サントスのペドロ・カイシーニャ監督とも会談している。サントスの内部の人間によると、どうやら今後、チームが獲得する選手の契約はネイマールの父が仕切るという合意が、サントスとの間でかわされているようだ。

 ネイマール・シニアは、息子が活躍するために、息子が望む、息子をサポートしてくれるような選手を集めたいと考えるだろう。現在候補に挙がっているのは、ローマのレアンドロ・パレデス、バルセロナのラフィーニャなど。どちらも金のかかる選手ばかりだ。

 サントスFCが、実はネイマールFCになる。ネイマールはプレーイングマネージャならぬプレーイングオーナーになる。もしこれが実現すれば、トップクラスのチームでは前代未聞の出来事だろう。しかしサントスにとっても異存はなさそうだ。金が手に入るし、いい選手が手に入る、成績が向上すればクラブの財源は豊かになるし、決して悪くない話だ。

 今回の移籍が合意に達した時、サントスの公式SNSは、ピッチに置かれた王座の動画と「王子が帰ってくる」というメッセージを投稿した。これに対しネイマールはこう応えた。

「王座は永遠に君のものだ、王よ(ペレのこと)。僕は王子だ。でも、あなたのお招きは謹んでお受けします」

 いずれにせよ、チームもサポーターもネイマールをまるで王のよう扱うことだろう。ネイマールはチームを好きなようにできる。いろいろな意味で救世主となり得るネイマールの言うことを、サントスは何でも聞くだろう。彼がほしいという選手を買い、彼が33分だけプレーしたいと言えば、33分だけプレーさせるだろう。他のチームではこうはいかない。

サントスへの復帰戦で観客の声援に応えるネイマール photo by AP/AFLOサントスへの復帰戦で観客の声援に応えるネイマール photo by AP/AFLOこの記事に関連する写真を見る ところで、ネイマールとサントスの契約期間は今年の6月30日までと、短いものになっている。これはネイマールサイドからの希望だという。久しぶりにブラジルでプレーするネイマールはまずは適応できるか、ケガの状態も含めて様子を見たいということだろう。だがそれは同時に、彼が計画しているサントスをその手中にできるかを判断する期間でもあるのではないか。チームのSAF化に向けての規約改正は、この5カ月のうちになされるということで、ちょうど一致する。

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