マンCの絶対的守護神エデルソンからポジション奪取 32歳のオルテガが名将ペップに重宝されるワケ (2ページ目)
【反射でシュートを止める独特の型】
続けて、南氏はオルテガの試合を振り返る。
「実際、それは昨シーズンのプレミアリーグ優勝を決定づけたトッテナム戦(2024年5月15日)でも証明されました。エデルソンの負傷によって途中出場となったオルテガが、ソン・フンミンが迎えた決定機で最高レベルのシュートブロックを見せ、チームの勝利に貢献しました。あれこそが、オルテガの真骨頂と言えるのではないでしょうか。
最近はチームの不振やエデルソンの負傷などで正GKの座を奪いつつありますが、彼のプレーを見ていると、そういったメンタルの強さを抜きに語れないと感じます」
オルテガの持つ特殊なバックグラウンドを説明したうえで、南氏はプレーの特徴とテクニックについての解説を続けた。
「僕はGKのプレーを『反応』と『反射』のふたつに分けて見ていて、反応とはステップを踏んでからボールを止めるのに対し、自分で面を作ってから守るのが反射としています。来たボールに反応して止めるのではなく、自分の体を止めた状態にして、反射的に体にボールを当ててシュートを止めるイメージと言えば、わかりやすいかもしれません。
まさにソン・フンミンのシュートブロックがその一例ですが、オルテガには反射でシュートを止めるための独自の"型"があって、それが強みになっています」
南氏は「反射」について、さらに説明を加える。
「反射は、自分の体の周辺に来たシュートを止めるための技術になりますが、実はGKにとって、自分の位置から遠いところのシュートを止めるより、近くに来たシュートを止めるほうが難しいんです。しかし、オルテガはそれが優れているので、1対1の局面に滅法強い。
自分で面を作って、適切な間合いを取りながら相手を引き込み、シュートの瞬間に手足を使って面を広げるようにしてブロックします。相手からすれば、シュートしたら急に目の前の壁が大きくなってボールがその壁に当たってしまった、という感覚に陥るのではないでしょうか。
もちろん、あれだけ低く構えて面を広げるためには、反射神経や体の柔軟性が欠かせないので、オルテガにはそういった身体的な資質もあるということでしょう。いずれにしても、この独自の型が、彼の最大の武器と言えます」
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