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フランス代表の新10番候補ラヤン・シェルキ21歳 ジダン、グリーズマンの系譜を継げるか (4ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【代表定着のポイントは?】

 ただ、もしかしたらさらに大きな壁があるかもしれない。デシャンはフランスを支えてきた「10番」をそこまで重視していない可能性があるからだ。というより、現代サッカーで純粋な「10番」は居場所を見つけにくくなっている。

 そもそもデシャンはモナコを率いていた時も「10番」のタイプを置いていなかったし、フランス代表でもグリーズマンより10番成分の顕著なナビル・フェキルはずっと控えだった。グリーズマンはよりハードワークできて、さまざまな局面に対応する適応力があり、それが重用されていた理由のひとつと考えられる。

 シェルキの「10番」としての能力は疑いないが、その他の仕事をどれくらいのレベルでこなせるかが、代表に定着するかどうかのポイントになるのではないか。

 現在のフランス代表は、フィジカル・モンスターが勢ぞろいしたような様相になっている。キリアン・エムバペという大エースもいる。しかし、グリーズマンにあった創造力は欠けたままだ。

 シェルキがジダンの道を歩むのか、それともベン・アルファやナスリの轍を踏むのかは、まだわからない。ユベントスとフランス代表で、ジダンを間近に見てきたデシャンの決断が注目される。

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著者プロフィール

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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