検索

フランス代表の新10番候補ラヤン・シェルキ21歳 ジダン、グリーズマンの系譜を継げるか (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji

【開花しなかった「10番」もいる】

 ハテム・ベン・アルファは、飛び級でクレール・フォンテーヌ(国立育成センター)に入った逸材だった。その才能は同年代のメッシと比較されるほど。しかし、リヨンからマルセイユに移籍して勢いが止まり、カルト的な人気はあったがフランス代表でも活躍できないままだった。

 ベン・アルファと同期のサミル・ナスリも「ジダン2世」と呼ばれた才能の持ち主。アーセナルやマンチェスター・シティで活躍したが、フランス代表にはやはり定着せず。

 ベン・アルファ、ナスリの共通点は規律の欠如である。才能は文句なしだったけれども、ナスリは監督批判で外されていて、ベン・アルファはコンディションがあてにならなかった。フランスは個人主義の国と言われているが、そのぶんチームの規律はけっこう厳格で、和を乱すような存在は受け入れられない傾向がある。

 ベン・アルファがマルセイユでプレーしていた時の監督はディディエ・デシャン。当初は起用法に不満を漏らして干されている。ナスリはフランス代表監督となったデシャンを批判して招集外となった。

 デシャン監督がフランス代表を率いて12年。その間、2018年ロシアW杯優勝、2022年カタールW杯準優勝。規律を乱す選手には容赦がない。出自も個性もさまざまで、自己主張の強い選手たちをまとめるには、デシャンの手法がおそらく正解なのだろう。シェルキがどういう性格かはわからないが、10代で天才ともてはやされた先輩たちの轍を踏まないことがまずは前提になる。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る