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浦和レッズSB・荻原拓也のクロアチア奮闘記「足はボロボロ。ピッチはデコボコ。シャワーも浴びられない」 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke

【試合中に思いっきり足に乗られてしまって...】

 ディナモ・ザグレブでのデビューは今年2月5日、リーグ第21節のHNKゴリッツァ戦だった。荻原は左サイドバックの先発として、本拠地スタディオン・マクシミールのピッチに立った。

「何とか復帰して、短期間で身体も作って出場したデビュー戦で評価されて。自分自身も全然、練習もロクにできていない状態にしてはやれたなって思えるくらい、戦うことができました」

 続く第22節のNKロコモティヴァ・ザグレブ戦にも90分間出場したが、そこで欧州の洗礼を浴びる。

「同じ市内にあるチームなんですけど、お世辞にも綺麗とはいえないほどスタジアムも小さくて、ピッチもデコボコだし、シャワーも浴びられないような環境でした。ワンプレーごとに、こんなにも滑るかってくらい足を取られてしまって」

 洗礼は、ピッチコンディションだけではなかった。

「雪が積もっていたんですけど、負けているとスタンドからベンチに雪の塊(かたまり)が飛んできたんです。これがヨーロッパかって。その試合中に、思いっきり相手に足に乗られてしまって、足の痛みがぶり返しちゃって」

 全体練習にも満足に参加できず、戦術も十分には理解できていなかった。コンディションもベストにはほど遠かったが、それでも一定の評価を得られたのは、浦和をはじめ、Jリーグで培ってきた経験が生きていた。

「その時のベストを出す。アベレージにすれば、60、70パーセントかもしれないけど、悪い状態なりにも自分が持てる能力を出すことは、それまでの経験から学んだことでした。チームからは戦術について、最初は細かく言われるわけではなく、上下にアップダウンして、自分のよさを出してほしいとだけ言われていました。

 プレーしてみて、リーグ的にもオーガナイズされているとは言い難いですけど、その分、個々の能力は発揮しやすい環境だった。試合自体も、いきなりオープンな展開で始まったりするので、なおさら個の力が問われるなって」

 足に痛みを抱えながらも、荻原は続くレアル・ベティスとのUEFAカンファレンスリーグの試合でベンチ入りする。

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