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浦和レッズSB・荻原拓也のクロアチア奮闘記「足はボロボロ。ピッチはデコボコ。シャワーも浴びられない」 (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke

【海外では何事にも意志表示をすることが大事】

「チームとしては『次のリーグ戦に向けて温存したい。出場することはないだろうけど、ベンチには入ってくれ』と。でも、フタを開けてみたら、81分に途中出場することになって。それには自分もびっくりしました」

 無理をして出場した結果、足にボールが当たっただけでも激痛を感じた荻原は、離脱を決意する。チームにその旨を伝えた時には落胆されたが、欧州に渡って彼がまず学んだのは、意志表示と適応力だ。

「加入したばかりとあって、早く自分の力を示さなければと思って焦ってしまったところもありましたけど、海外では何事にもはっきりとした意志表示をすることが大事になる。あと、適応する力。これは半年間でも大きなテーマだったし、それが身についたからチームにも馴染めたと思っています」

 リハビリの過程では、日本がいかに恵まれていたかも痛感した。

「日本はすべてが高いレベルでオーガナイズされていて、治療方針や復帰までの過程においても自分の考えや感触も聞いてもらえたり、スタッフと相談したりしながら取り組んでいくことができました。でもクロアチアでは、自分のコミュニケーション不足もあり、すべての意図を汲み取ってもらえるわけではなかった。

 自分もこんなキャラだから、治療よりも、しゃべっている時間のほうが長くて、いじられている感じで(苦笑)。ディナモ・ザグレブはそれでも国内で一番のビッグクラブだし、環境はいいと言われていますけど、選手が主体的にやらなければならないところと、主体的にできないところの両面がありました」

 2023シーズンを戦った疲労もあり、ケガが癒えたあとも、なかなかコンディションが上がらず、試合に出場できない日々を過ごした。

 それでも最終的にチャンスを掴めたのは、メンタリティーの成長、変化にあっただろう。

「最初から思うようにいかないことばっかりでしたけど、最終的にはそれを楽しめるようになりました。ケガが治ってからも疲労や精神的にもきつくて、絞っても何も出ないんじゃないかってくらい絞って絞りきって、力を出していたんですけど、それすら楽しめる自分になっていました」

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