ユーロ2024準決勝 フランスの敗因は、スペインに劣った中盤とエムバペのワンプレー (4ページ目)
案の定、ナチョの上で構えるヤマルは、それとともに活躍の機会が減少した。右サイドでスペインは推進力を出せなくなった。フランスにとっても、エムバペにとっても、おあつらえ向きの展開になった。しかし、エムバペの動きはいまひとつエネルギッシュさに欠けた。
フランスの敗因を、スペインとの比較で語るならば、中盤がなかったことに尽きる。攻撃は選手の身体能力頼みになっていた。迫力はあったが単調で、細やかさ、面白さ、柔らかさ、彩りに欠けた。パスワークの妙が楽しめたミシェル・プラティニ時代のフランスとは真反対のチームになっている。これはいまに始まった話ではないが、今回はその色が特に濃かった気がする。
フランスにほしいのはスペイン色だ。この試合をまとめるならば、面白いサッカーと強いサッカーがバランスよく、車の両輪のような関係になっているスペインが、柔よく剛を制した一戦、となる。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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