ユーロ2024敗退にイタリア人記者の怒りが爆発! ブッフォンもW杯への危機感を露わに (3ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

【イタリアに不足している勇気】

 ビッグクラブのトップは? インテルはラウタロ・マルティネス(アルゼンチン)にマルクス・テュラム(フランス)、ユベントスはドゥシャン・ヴラホヴィッチ(セルビア)にアルカディウシュ・ミリク(ポーランド)、ローマはロメル・ルカク(ベルギー)とパウロ・ディバラ(アルゼンチン)、ミランはオリビエ・ジルー(フランス)とラファエル・レオン(ポルトガル)......どこにもイタリア人の姿はない。

 スパレッティに与えられた選択肢は非常に少なく、それは結果にも如実に表れていた。

 一方、守備陣はまだましだった。カラフィオーリ、アレッサンドロ・バストーニ(インテル)、それから中盤ではニコロ・バレッラ(インテル)もまあいい仕事をしたが、その他の選手は代表でプレーするに値しなかった。今後はそんな彼らを強制的に排除する必要がある。特にトップは、完全に一新しなければならない。
 
 なぜイタリアサッカーはどん底にまで落ち込んでしまったのか。何千もの無意味な言葉と時間が費やされてきた。サッカースクールをもっと作る必要がある。子供たちが郊外の原っぱや道端で膝小僧をすりむきながら自由にサッカーができなくなったのが原因だ。サッカーにロマンスが無くなったからだ......。

 しかし、真実はイタリアサッカー界に勇気がなかったからだ。若い選手を信頼し、重要な役割を任せることをしてこなかった。スペインは16歳のラミン・ヤマル(バルセロナ)を前線に据え、トルコは19歳のケナン・ユルディズ(ユベントス)とアルダ・ギュレル(レアル・マドリード)をレギュラーとして使っている(ユベントスではユルディズはベンチが多い)。イタリアでは起こり得ないことだ。

 たとえばミランに所属の2008年生まれのフランチェスコ・カマルダは、稀有なゴールセンスを持つ優秀なストライカーだ。しかしミランは彼をトップチームデビューさせ、数分間使ったのみで満足し、またユースチームに戻してしまった。なぜならトップチームには父親と言ってもいい年齢のジルーがいたからだ。

 最初にW杯行きの切符を手に入れそこなった時に、なんですぐに手を打てなかったのかと、多くの人々はサッカー協会を非難する。確かに彼らは何もしてこなかった。だが正確に言うなら「しなかった」というより「できなかった」のほうが正しいと私は感じる。いい素材がなければ、いいチームは作れないからだ。

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