ユーロ2024敗退にイタリア人記者の怒りが爆発! ブッフォンもW杯への危機感を露わに (4ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

【ブッフォンが語った危機感】

 2006年にW杯で優勝した選手たちのことを、私は個人的にも知っている。ジャンルイジ・ブッフォン、フィリッポ・インザーギ、デル・ピエロ、カンナヴァーロもよく知っている。彼らは皆、際立ったパーソナリティを持っていて、サッカーの話だけでなく、その他のおしゃべりをするのも楽しかった。しかし今の、タトゥーだらけで甘やかされた若い選手たちとともにコーヒーを飲むのは難しいし、あまり乗り気にもならない。もちろん、いつの時代にも例外はいるが......。

 現在はコーディネーター(スポーツディレクター)として、イタリア代表の顔となっているブッフォンに、今回の敗退について直接、尋ねてみた。その公式な立場ゆえに、いつもの彼に比べると歯切れは少し悪かったが、それでもいつものように正直だった。

「ここ10年のイタリアサッカーはちょっと上を向いたり、下を向いたりを繰り返しているだけ。安定を得られるような飛躍的な進歩を遂げることはできなかった。今、我々の目の前にはW杯予選がある。再び失望を味わうなどとは想像したくない。W杯出場はイタリアにとって最低限の目標だが、それに到達するには、まず断固とした正しい一歩を踏み出さないといけない」

 ジジ(ブッフォンの愛称)は基本的には楽観主義で、あまりネガティブなことを言わない人間だが、今回ばかりはそうはいかないようだ。目の前にある現実を直視すれば、それも頷ける。彼は「もし今のままを続けるなら、W杯は常に夢のままで終わってしまう」と言いたかったのだ。

 そうした事態を避けるために、サッカー協会はブッフォンの権力を拡大しようとしている。チームのお飾りであるスポーツディレクターだけでなく、決定権も持つテクニカルディレクターになる予定だ。

 一方、かつてアッズーリを率いたチェーザレ・プランデッリは、イタリア再生についてこんな意見を持っていた。

「16歳以下の子どもたちに戦術を教えるのを禁止し、自由にプレーさせ、彼らのインスピレーションやファンタジーを伸ばしてやることが大事だ。スペインもそうだし、他の多くの国もそうしている」

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