ユーロ2024のベルギーに圧倒的存在感のウイング 誰もジェレミー・ドクを止められない (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【スロバキア戦も交代を機に内容は改善】

 GK/クーン・カステールス(ヴォルフスブルク)、左SB/ヤニック・カラスコ(アル・シャバブ)、CB/ゼノ・デバスト(アンデルレヒト)、バウト・ファエス(レスター)、右SB/ティモシー・カスターニュ(フルハム)、守備的MF/アマドゥ・オナナ(エバートン)、オレル・マンガラ(リヨン)、1トップ下/ケヴィン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)、左ウイング/レアンドロ・トロサール(アーセナル)、CF/ロメル・ルカク(ローマ)、右ウイング/ジェレミー・ドク(マンチェスター・シティ)。

 開始早々から、誰よりも元気いっぱいにプレーしていたのはドクだ。左も右もできる多機能型ウイングだが、この日は右で先発。攻撃のみならず、守備も頑張っていた。ところがアドレナリンが出まくっていたのか、勢いあまって自陣の深い位置で相手に決定的なプレゼントパスを送ってしまう。これをスロバキアFWイバン・シュランツ(スラビア・プラハ)に決められ、決勝点とされた。

 ベルギーは後半13分、右ウイングにヨハン・バカヨコ(PSV)を投入。ドクを左に回し、左ウイングで先発したトロサールを守備的MFに下げ、同ポジションで先発したマンガラを下げる戦術的交代を行なった。このあたりからベルギーのサッカーは、だいぶよくなっていった。

 トロサールは万能型の選手で、ウイングのスペシャリストではない。両ウイングにドクとバカヨコの専門選手を配置したことで、攻撃は格段にスッキリした。ドクは左に回り、前半以上に活発に動き回った。だが、同点弾は生まれない。

 後半29分には守備的MFに回っていたトロサールに代え、同ポジションにユーリ・ティーレマンス(アストンビラ)を投入。さらに後半39分には右ウイングのドクを下げ、ドディ・ルケバキオ(セビージャ)を投入し、右を務めていたバカヨコを左ウイングに回した。最後は左SBのカラスコを下げ、ロイス・オペンダ(ライプツィヒ)を投入。ルカクと前線で2トップを組ませた。

 結果は出なかった。しかしドメニコ・テデスコ監督の、動かぬ石を動かそうともがく姿には好印象を抱いた。

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