忘れられないEUROの名シーン ファン・バステンのボレーシュートはサッカー史に残る一撃になった (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

 デンマークと準決勝で対戦したオランダは、フリット、ライカールト、クーマン、ファン・バステンに加え、デニス・ベルカンプも出場していた。まさにスーパースター軍団だったが、延長、PK戦の末、デンマークの軍門に下った。オランダはW杯で準優勝3回、3位、4位各1回と、あと一歩のところで優勝を逃している。ビッグな大会で優勝したのは1988年欧州選手権のみだ。オランダらしい終わり方だった。

 デンマークと決勝を争ったのは、W杯を制したばかりのドイツ。下馬評で上回ったのもドイツだったが、勝ったのはデンマークだった。デンマークがW杯や欧州選手権で決勝に進出したのは、後にも先にもこれ1回。世紀の大番狂わせに湧いた大会だった。

 1992年欧州選手権のベスト11は以下のとおり。

 GKピーター・シュマイケル(デンマーク)、DFジョスリン・アングロマ、ローラン・ブラン(ともにフランス)、アンドレアス・ブレーメ、ユルゲン・コーラー(ともにドイツ)、MFブライアン・ラウドルップ(デンマーク)、ステファン・エッフェンベルク、トーマス・へスラー(ともにドイツ)、FWフリット、ベルカンプ、ファン・バステン(ともにオランダ)。
(つづく)

プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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