NEC佐野航大の夢は「いつか日本代表で兄貴とダブルボランチ」 オランダ1年目でブレイクした20歳の未来は無限大 (4ページ目)
【パリ五輪経由でA代表「絶対に入りたい」】
どこでもできるのが佐野の価値であり最大の能力だ──ハウカ記者の言葉は、選手枠が18人に限られるパリ五輪のメンバー選出に有利なプロフィールとなるだろう。
U23アジアカップで日本が優勝したことについて、佐野に「大会は見た?」と尋ねた。
「見ていました。『アジアは難しい』と本当に感じました。それでも優勝したのはさすが。すごいなと思いました。ここからは18人という、狭き門になってくる。自分が入れないと決まったわけでもないので、どうにかがんばりたいです。絶対に入りたいですね」
その言葉どおり、6月のアメリカ遠征に臨む25名のU-23日本代表メンバーに、佐野は初招集された。
最後に、A代表への思いも訊いておきたかった。
「ゆくゆくは絶対に入りたいです。兄貴(佐野海舟/鹿島アントラーズ)とのダブルボランチ、それが夢ですね。ふたりで6番と8番、それは楽しいと思います。兄貴も重圧があるなか日本でやっているんで、俺も負けられない。
2022年の年末に会ったのが最後なんで、もう1年半くらい会ってない。実家近くの小学校で一緒にボールを蹴っていたら、鹿島の強化部から(兄に)電話がかかってきて、『航大、俺、鹿島に行くわ』って(2023年にFC町田ゼルビアから鹿島へ移籍)。岡山と鹿島は遠いんで、全然会っていません。帰国したら会う予定があるので、そこでいっぱい話をします(笑)」
日本代表への思いは、同時に兄への思いにも変わっていた。弟はかつて、こんなことを言っていた。
「兄貴は守備、俺は攻撃って感じですね。兄貴は小さな頃から守備の意識が高く、練習でもセカンドボールを意識していましたね。俺は逆に、そんなことよりボールに触りたいとか、ゴールを決めたいとか、そっち側だった。兄貴のほうが玄人向けですね」
佐野海舟が中盤で守備の要となり、佐野航大が攻守をつなぐリンクマンとなって敵のゴール前に姿を現す──。日本代表でそんなダブルボランチが誕生する日が、いずれ来るのかもしれない。
著者プロフィール
中田 徹 (なかた・とおる)
スポーツライター。 神奈川県出身。オランダを拠点に、2002年よりサッカーを主に取材。オランダスポーツジャーナリストクラブ会員。
【写真】元なでしこジャパン・岩渕真奈「ファッション&メイクアップ」ビューティ&プレーフォト集
4 / 4