遠藤航、久保建英、南野拓実...今季欧州サッカーで奮闘した日本人選手ベスト11を識者が選出

サッカーの中心地・欧州でプレーする日本人選手が年々増えているなかで、識者3人に今季の欧州日本人選手のベストイレブンを選出してもらった。各ポジションで活躍したのは誰だったか。

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リバプールの遠藤航(左)とレアル・ソシエダの久保建英(右)。今季も欧州サッカーで奮闘する日本人選手の姿が見られた photo by Getty Imagesリバプールの遠藤航(左)とレアル・ソシエダの久保建英(右)。今季も欧州サッカーで奮闘する日本人選手の姿が見られた photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る

【欧州のあらゆるリーグで日本人選手が活躍】

中山 淳(サッカージャーナリスト)

この記事に関連する写真を見るFW/小川航基(NEC)、久保建英(レアル・ソシエダ)、堂安律(フライブルク) 
MF/南野拓実(モナコ)、遠藤航(リバプール)、守田英正(スポルティング)、伊東純也(スタッド・ランス) 
DF/伊藤洋輝(シュツットガルト)、板倉滉(ボルシアMG)、菅原由勢(AZ) 
GK/鈴木彩艶(シント=トロイデン)

 近年、日本人選手はヨーロッパのあらゆるリーグでプレーしているが、そのなかで今シーズンのベスト11を選出してみると、当然ながら日本代表選手が顔を揃えた。なお、布陣に選手を当てはめるのではなく、あくまでも選手の活躍を基準に配置したので、ここでは3-4-2-1を採用した。

 まず、前線の選手で最もゴール数を稼いだ、オランダのNECの小川は問答無用の選出。チームは惜しくもヨーロッパカップ出場権を逃したが、小川は加入初年度ながらリーグ戦で11ゴール、国内カップ戦でも4ゴールを記録。ヨーロッパ初挑戦で申し分のない成績を収めた。

 2シャドーに配置したのは、チームの主軸としてチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ突破にも貢献した久保と、シーズンを通して重要戦力としてハイパフォーマンスを維持した堂安のふたりだ。

 久保はシーズン終盤に疲労が見えたが、裏を返せば、開幕からフル稼働させなければならないほどの戦力だったということ。ヨーロッパリーグ(EL)にも出場した堂安も複数ポジションで躍動し、ブンデスリーガで7ゴール、ELでも2ゴールを記録し、チームの中心となった。

 両ワイドは、右に伊東、左に南野と、リーグ・アンから選出した。

 伊東は昨シーズンに続いて質の高いプレーを披露。ゴール数は昨シーズンより下回ったが、逆にアシストは昨シーズン以上の7を記録するなど、チャンスメイクの回数もリーグ屈指だった。一方の南野は昨シーズンの大不振からリベンジを果たし、9ゴール6アシストの活躍ぶり。チームのCL出場権獲得の立役者となった。

 ボランチは守田と遠藤。結果的に日本代表のコンビそのままとなったが、守田はスポルティング加入2年目でリーグ優勝に貢献。個人としても、チームの主力ボランチとして活躍した。遠藤はビッグクラブのボランチに定着し、リーグカップ優勝も経験。個人としての能力をさらに磨き、今シーズンのヨーロッパ日本人MVP級のパフォーマンスを披露した。

 最終ラインに選出したのは、伊藤、板倉、菅原の3人。菅原はAZで不動の右サイドバック(SB)としてシーズンを通して躍動したが、ここでは3バックの右に配置した。伊藤は今シーズンのブンデスリーガで台風の目となったシュツットガルトで左SB、センターバック(CB)、3バックの左など複数ポジションで活躍。

 板倉は、負傷とアジアカップで一時的に欠場した期間があったが、加入2年目のボルシアMGで不動のCBとして君臨。安定感も抜群で、今夏も移籍マーケットの人気銘柄だ。GKには、日本人で唯一、シーズンを通して正GKの座を守った鈴木彩艶を選出した。

 ほかにも、リーグやカテゴリーの枠を外せば、今シーズンもヨーロッパで活躍した日本人選手は多数いた。果たして来シーズンは誰がブレイクしてくれるのか、要注目だ。

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プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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