遠藤航、久保建英、南野拓実...今季欧州サッカーで奮闘した日本人選手ベスト11を識者が選出 (3ページ目)

【現在の日本はウイングが強いのが特徴】

西部謙司(サッカーライター)

この記事に関連する写真を見るFW/南野拓実(モナコ)、久保建英(レアル・ソシエダ) 
MF/三笘薫(ブライトン)、守田英正(スポルティング)、遠藤航(リバプール)、伊東純也(スタッド・ランス) 
DF/冨安健洋(アーセナル)、伊藤洋輝(シュツットガルト)、板倉滉(ボルシアMG)、菅原由勢(AZ) 
GK/小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)

 ほぼ日本代表の11人。唯一、小久保はA代表経験がないが、U-23アジアカップの活躍で選出した。代表歴という点では鈴木彩艶(シント=トロイデン)がいるが、アジアカップ前半のプレーがあまりいい印象ではなかった。

 ただ、このふたりの身体能力やサイズは、ワールドカップを勝ち抜くには不可欠になるだろう。日本が守勢に追い込まれるケースが想定される以上、上位進出にはGKのスーパーな活躍が必要になる。足元も確かで、経験を積んでさらなる成長に期待したい。

 菅原、板倉、伊藤、冨安のDFラインは、日本代表そのまま。ただ、冨安と伊藤の位置が入れ替わっているのは、所属クラブでのポジションを優先したためだ。代表では冨安がCB、伊藤が左SBなのだろうが、アーセナルでの冨安はCBではプレーしていない。

 負傷欠場が多い冨安だが、左右のSBをそつなくこなし、「偽SB」としてもある程度機能するマルチな才能を示している。相手のエースと渡り合える能力も抜群。課題は負傷だけだ。

 先にFWに言及すると、右の伊東は確定。金子拓郎(ディナモ・ザグレブ)の活躍と技術も魅力だが、今季はほとんどプレーを見ることができず、選出できなかった。左の三笘は負傷でシーズン後半を棒に振ったが、プレミアリーグのベストゴールに選出された得点など、前半戦の活躍は印象的だった。

 問題はセンターフォワード(CF)。上田綺世(フェイエノールト)はあまり活躍できず、古橋享梧(セルティック)も昨季よりインパクトは薄い。一方、残り2枠に久保、南野を入れないわけにはいかないので、ゼロトップ、または南野の「偽9番」とした。

 南野はレキップ紙の年間ベストイレブンでは左MFに選出されているが、CFもこなせるだろう。久保も本来は右ウイングがベストポジションなのだが、伊東がいるので代表同様にインサイドハーフとした。

 日本代表の編成としては、ウイングが強いのが特徴なので、ゼロトップではなくCFを置いたほうがしっくりくると思う。ただ、南野、久保、伊東、三笘、遠藤、守田を共存させるには、純粋なCFは外さざるをえなかった。日本代表ではなく、ベストイレブンという趣旨なので、ベストな11人を優先した次第だ。

プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

  • 篠 幸彦

    篠 幸彦 (しの・ゆきひこ)

    1984年、東京都生まれ。編集プロダクションを経て、実用系出版社に勤務。技術論や対談集、サッカービジネスといった多彩なスポーツ系の書籍編集を担当。2011年よりフリーランスとなり、サッカー専門誌、WEB媒体への寄稿や多数の単行本の構成を担当。著書には『長友佑都の折れないこころ』(ぱる出版)、『100問の"実戦ドリル"でサッカーiQが高まる』『高校サッカーは頭脳が9割』『弱小校のチカラを引き出す』(東邦出版)がある。

  • 西部謙司

    西部謙司 (にしべ・けんじ)

    1962年、東京生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集記者を経て2002年からフリーランスに。「戦術リストランテ」「Jリーグ新戦術レポート」などシリーズ化している著作のほか、「サッカー 止める蹴る解剖図鑑」(風間八宏著)などの構成も手掛ける。ジェフユナイテッド千葉を追った「犬の生活」、「Jリーグ戦術ラボ」のWEB連載を継続中。

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