NEC佐野航大の夢は「いつか日本代表で兄貴とダブルボランチ」 オランダ1年目でブレイクした20歳の未来は無限大 (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru

【移籍先はPSV、フェイエノールト、アヤックス?】

 圧巻だったのは、シーズン終盤の活躍ぶりだ。第33節フェイエノールト戦、最終節アルメレ・シティ戦、そしてプレーオフのゴー・アヘッド・イーグルス戦と、佐野はラスト3試合で連続ゴールを叩き込み、ヨーロッパ1年目(実働半年)を6ゴール3アシストという好スタッツで締めくくった。

 小川に「佐野選手は3試合連続弾です」と言うと、「うおっ!」と驚いた。

「航大は、試合で伸び伸びと使ってもらっていたら、どんどん伸びていった若手の典型。シーズン後半は彼にとって、すごくいい戦いだったと思います」

 佐野の成長について、小川の話はさらに続く。

「昨年、まだ航大が試合にあまり絡んでなかった頃、『ヨーロッパは数字が出ないと評価されない。いいプレーをしてもアタッカーは数字を見られるから、そういうところがついてくればビッククラブに行けるよ』という話をしたんです。オランダのアタッカーはみんなシュートを打ちにいくけれど、航大はそんな感じじゃなかった。しかし今は、自分ですごく打つようになった。(冗談っぽく)俺があんなことを言ったせいで、パスを出してくれなくなっちゃった(笑)」

 オランダの名だたるサッカージャーナリストたちも、佐野を絶賛する。

「航大はダイナミックで、テクニカルな選手。ボールコントロールがすばらしく、とても完成された選手だからこそ、我が社(デ・フォルクスクラント)のベストイレブンに選ばれた。彼に合うのは、ブンデスリーガやリーガ・エスパニョーラ。その前にまず、フェイエノールトかPSVのステップを踏むべき」(『デ・フォルクスクラント』紙/バルト・フリートストラ記者)

「オランダのサブトップ(中位クラブ)からすぐに国外に出てもうまくいかない。まずはPSV、フェイエノールト、もしくはアヤックスでプレーしないと。航大の走力と動きの質は、目を見張る。試合中の彼は疲れ知らずで、相手のプレスを簡単に外すこともできる。さらに彼は得点能力がある。エールディビジより、はるかに上まで行くことができるだろう。

 彼の力が最も発揮できるのはMF。彼は攻撃も守備もできるし、走力を活かせるからだ。右ウイング、左ウイング、10番、8番......どこでもできるのが彼の価値であり最大の能力だ」(『アルへメーン・ダッハブラット』紙/ミコス・ハウカ記者)

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